2021年03月10日

カズオ・イシグロさんのWBSインタビュー

3月2日にカズオ・イシグロさんのノーベル賞受賞後初となる長編小説「クララとお日さま」が世界同時に発売された。これに合わせて、報道各社は、それぞれ、インタビューや記事を公開した。ネットの中では、東洋経済オンラインの「カズオ・イシグロ語る『感情優先社会』の危うさ、事実より『何を感じるか』が大事だとどうなるか」が大きな注目を集めている。

これに対し、管理人は、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」が、シリーズ「コロナに思う、再び」第4回として3月2日深夜に放映したインタビューの内容に心を惹かれた。それは、このインタビューで語られた内容に、管理人の科学コミュンケーション活動の裏にあった想いが明確な言葉で表現されているところがあると感じたためである。いろいろ締め切りに追われる毎日であるが、以下に、その詳細を述べる。


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2021年01月20日

新年のご挨拶2021

旧年6月以来、種々のイベントの準備や締切に追われ、ブログの更新ができない日々が続いてしまいました。既に1月20日になってしまいましたが、本年の年賀状に記載しました文章を以下に再掲し、新年のご挨拶と致します。
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謹賀新年
本年の皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

nenga2021.jpg

 新型コロナウイルス感染症流行下にあっても、これまでおこなってきた海洋科学コミュニケーションや地学教育関連の活動をオンラインで続けています。外出の機会が格段に少なくなりましたが、さまざまなオンラインイベントに参加して、いろいろな方々のお考えや思いに接する機会が増えたことに喜びを感じながら、日々を大過なく過ごしています。これも一重に、医療従事者の皆様と社会基盤を支えておられる多くの方々のお蔭であり、深く感謝しております。
 新型コロナウイルス感染症流行の終息が、まだまだ見通せない状況ですが、この困難に立ち向かう「豊かな想像力」と「広い心」を持つ人が一人でも増えることを願って、今後も、焦らずに、自分に出来ることを、多くの仲間とともに、楽しく続けていきたいと思っています。

令和3年 正月
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イラスト:
PIXTA年賀状素材(丑年)
https://pixta.jp/photo/71350424

まだ、締切を抱え、時間的な余裕はないのですが、以下に、上の文面の補足として、旧年中の主な活動や思ったことなどを簡単に述べます。


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2020年05月07日

昨今の私の日常

 前回のエントリーから4カ月が過ぎた。2月末頃までは、「地域住民による津波防災対策計画立案のためのガイドライン」第1回公開検討会の準備の他、さまざまなイベントに参加して、多忙な日々を過ごしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大で事態は一変した。感染症拡大防止対策として小規模集会まで自粛することに強い抵抗を感じたが、2月末には、3月16日開催予定だった公開検討会の延期を決定した。さらに自粛の風潮が広がり、3月には、多くのイベントは中止となった。また、緊急事態宣言の後には、各種のイベントはWeb(ZOOM)開催になった。このような状況で、わずかながら時間の余裕ができたので、数年来の懸案であった、東京心茶会(管理人が学生時代に所属していた京都大学心茶会の卒業生の中で東京地区に在住する会員の組織)創立60周年記念文集の原稿「私の中の心茶会と久松先生」を書き上げた。この一文は、管理人の大学入学以来の50年間の軌跡を振り返りながら、管理人の日常生活の中にある心茶会の理念の一端を一般の人に紹介することを試みたものである。
 新型コロナウイルス感染症拡大に直面して、管理人は、死を招く未知のウイルスへの恐怖、経済的損失による将来への不安、政治家・官僚・専門家への不信・不満、自分勝手な行動や的外れな発言をする人への反発、長引く外出抑制への苛立ちなどを感じることがしばしばある。しかし、このような負の感情を出来るだけ抑えるために、感染症拡大が終息した後の新秩序に順応して穏やかな日々を過ごす自分を思い描いて、一人ですべてを抱え込まず、周りの人に助けてもらいながら、出来ないことは諦め、出来ることだけをおこない、前向きに進むことを考えて、日々を過ごしている。このような管理人の心の持ち様の源を紹介することは、緊迫の問題を抱えている読者には無用かもしれないが、その心に多少の平安をもたらすことを願って、上に述べた原稿のウェブ版を以下に掲載する。

2020年6月6日追記:私の寄稿1編を含む東京心茶会60周年記念文集PDFが心茶会HPで公開されました( http://bit.ly/tkysck60 )。



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2020年01月06日

新年のご挨拶2020

明けましておめでとうございます。
本年の年賀状に記載しました文章を以下に再掲し、ご挨拶と致します。

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謹賀新年
本年の皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
2019nenga.jpg
 古希を過ぎましたが、さまざまなイベントで新たな「出会い」と「学び」を得ることに喜びを感じながら、日々を大過なく過ごしています。これまでの海洋科学コミュニケーションや地学教育関連の活動に加えて、旧年10月から、各地の住民が各々の地区の特性に応じた津波防災対策計画を策定する際に助けとなる指針について検討する活動を新しい仲間と始めました。3月には公開検討会を開催する予定です。

 先が見えない今の日本社会には、「金だけ、今だけ、自分だけ」という風潮が蔓延しているように見えます。このような社会に抵抗して、「豊かな想像力」と「広い心」を持つ人が一人でも増えることを願って、今後も、焦らずに、自分に出来ることを、多くの仲間とともに、楽しく続けていきたいと思っています。

令和2年 元旦

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イラスト:
年賀状2020デザイン無料テンプレート
干支(子)の土鈴のイラスト

以下は、上の文面の補足。

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2019年10月15日

「プリンシピア」を翻訳した海洋学者

2019年10月18日 一部修正

毎日新聞2019年10月6日付け東京朝刊の今週の本棚で、「村上陽一郎・評 『プリンシピア 自然哲学の数学的原理 全3編』=アイザック・ニュートン著、中野猿人・訳」が掲載されているのに気付いた。管理人が注目したのは、その訳者の中野猿人というお名前であった。中野猿人と言えば、管理人が大学院学生であった1970年代に海洋学会でそのお姿を拝見していた潮汐学の権威である中野先生(当時、東海大学教授。2005年逝去。管理人の師ではないが、以下では先生と呼ばせて頂く)である。書評では1977年刊行の復刻版であることが明記されておらず、訳者の経歴などに言及されていないこともあって、中野先生ご本人が「プリンシピア」を訳されていたということに思いが至らず、同姓同名の人かと思ってと確認のためネットで調べた。

その結果、講談社の関連サイトの6月21日付け記事「この夏、『プリンシピア』が大復刻。近代科学の始まりをとくと見よ」と題する記事で、42年ぶりにブルーバックスから3ヵ月連続刊行にて復刊されることとなった「プリンシピア」の訳者がまぎれもなく管理人が記憶していた中野先生であったことを確認した。
しかし、その訳者紹介では、
1908年、佐賀県生まれ。1930年、東京帝国大学理学部天文学科卒業。1938年、東京帝国大学より博士号(理学博士)を授与される。中央気象台に奉職、気象大学校長などを歴任し、1968年、気象庁退官。東海大学海洋学部教授を務める。著書『潮汐学』『球面天文学』(古今書院)、『海の談話室』(講談社)ほか。2005年、97歳で逝去。(写真は『プリンシピア』翻訳中、1970年5月撮影。『海の談話室』より)
と記載されているだけであった。このため、以下で、先生の海洋学研究、日本海洋学会へのご貢献などについて紹介することにした。

参考
中野猿人 (1970): 海の談話室.講談社、pp.343.
宇田道隆 (1954): 日本海洋学の進歩の足あと.地学雑誌、63巻3号、p.139-144.
宇野木早苗 (2005): 名誉会員中野猿人先生のご逝去を悼む.海の研究、第14巻第4号、p.549.
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』:中野猿人

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posted by hiroichi at 03:08| Comment(3) | 海のこと | 更新情報をチェックする