2009年08月10日

北極海海底からのメタンガスの漏出

2009年8月11日00時35分 加筆・修正
2009年8月15日14時20分 加筆(17時55分修正)

メタンは地球温暖化効果ガスの一種で、その温室効果は同量の炭酸ガスの21倍と言われている。8月6日にアメリカ地球物理学連合(AGU)から発行されたGeophysical Research Letterの第36巻第2号に「Escape of methane gas from the seabed along the West Spitsbergen continental margin(西スピッツベルゲン大陸棚縁辺にそった海底からのメタンガスの漏出)」という論文が掲載されているのを、AGUからメール配信された新着雑誌報告(AGU e-alart)で知った。温暖化が進む北極海の海底のメタンハイドレートが溶解して、海底からメタンが漏出しているのを観測で発見した報告である。以下は、この論文の詳細など。

8月15日付けScienceDailyに以下の関連記事がアップされましたのでお知らせします(平易な英文です。ご参考まで)。
National Oceanography Centre, Southampton (UK) (2009, August 14). Warming Of Arctic Current Over 30 Years Triggers Release Of Methane Gas. ScienceDaily. Retrieved August 15, 2009, from http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090814103231.htm



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2008年07月21日

海面上昇と干満差

池田信夫 blogの7月20日付けの記事「塩谷喜雄氏の無知な「温暖化脅威論」」で、以下の記述が目に付いた。
海面上昇も、IPCCの予測では2100年で30cm程度で、日本の干満の差(最大約2m)に比べても問題にならない。
この認識には、以下に述べるように重大な誤りがある。


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2007年05月13日

海洋の二酸化炭素吸収

5月9日付けの毎日新聞東京版に「CO2:海の吸収量、どう変化 観測、温暖化対策に貢献」という記事が掲載されていた(http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070509ddm016040024000c.html).そのリードでは
地球表面の7割を占める海は、毎年約20億トンの二酸化炭素(CO2)を吸収している。これは、全世界の1年間の化石燃料燃焼によるCO2排出量の約3分の1。海のCO2吸収量が今後どう推移するのかを探ることは、気候変動予測や温暖化対策に役立つため、国内でも船舶による観測やブイを使った自動観測装置などの研究が進んでいる。
と述べられており,本文では,観測活動の例として,国立環境研究所地球環境研究センターによって行われている日本と北米・豪州間の2航路での定期貨物船を用いた航走観測と,海洋研究開発機構むつ研究所によって行われているカムチャツカ半島南方沖水深5200m地点での係留ブイを用いた深度40mにおける1年間以上の自動採水観測が紹介されている.

センセーショナルな新発見ではなくて,実施中の観測がその意義とともに紹介されることは,気候変動に関わる観測研究に従事している者として歓迎すべきことである.ただし,その記事の一部に読者に誤解を与える記載があるので,以下に補足説明を加える.


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2007年05月03日

「地球温暖化のメカニズムの嘘」について

「らくちんランプ」さんが「地球温暖化のメカニズムの嘘」と題するエントリーで,
「地球温暖化のメカニズムの嘘」とは、「未だに人類が海洋生態系の実態を解明していないのに、海洋によるCO2吸収量が判明しているものとして成り立っている嘘である」と言い替えるのが、より適切な表現かもれません。
 また、「地球温暖化のメカニズム」の真の姿を解明する為には、 地球環境フロンティア研究センターのような公的研究機関による研究(参照:海洋生態系モデル研究グループ)を、結論ありきの偽りの研究にさせないために、その途中経過を監視する必要すら生じていると思います。

 それにしても、為政者達の金儲けのために協力している「エセ科学者」と、為政者達の嘘に気付いているのに、その嘘を暴こうとしないマスゴミに寄生している連中に対しては、自分の地位保全と金儲けのためには、世界中の人々に間違った常識を植え付けることに、後ろめたい気持ちすら持ち合わせていない「餓鬼」以下の存在なのかと言いたい気持ちです。
という表現で,「二酸化炭素悪玉説を声高に叫んでいるエセ科学者共」を非難しています.

社会の動きについて真剣に考え,発言されている「らくちんランプ」さんに敬意を表します.また,科学者の権威を疑い,IPCCの裏で行われていることを批判されることについて反対するつもりはありません.しかし,科学研究の方法について誤解されているようなので,老婆心ながら以下にコメントします.

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posted by hiroichi at 19:24| Comment(62) | TrackBack(3) | 温暖化 | 更新情報をチェックする