2023年12月14日

好奇心、探究心、研究心

今年は、今までになく慌ただしい毎日で、前回の4月の更新から8か月が過ぎてしまった。こうした中、管理人が日本科学振興協会(JAAS)会員として参加しているイベントの1つである「イノベーションユース season2」で、11月26日に参加者向けに1時間の特別レクチャーをおこなうことになった。
「イノベーションユース」は、「探究心で未来を照らす、好奇心に火をつける 10代の研究マインドを応援する育成型プロジェクト」をキャッチフレーズとしている。このことを考慮して、特別レクチャーの一部に「好奇心、探究心、研究心」についてのこれまで管理人が考えてきたことをまとめて話すことにした。それは、何の留保もつけずに、研究における「好奇心」の重要性を強調する研究者が多いことに漠然とした疑問を感じていたからでもある。多分に不勉強な管理人の独断的な考えであり、至らない点が多々あると思うが、以下に、特別レクチャーの内容の該当部分について詳しく述べる。


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2015年07月11日

科学コミュニケーションの全体像

2015年7月12日14:30 一部修正、追記

4月7日の前回の更新から3ヵ月が過ぎてしまった。3月末に退職した後、「毎日が日曜日」ではあったが、娘の結婚式の他、日本海洋学会和文誌「海の研究」の編集長業務、那覇で開催されたPAMS(太平洋アジア縁辺海研究)集会参加、幕張で開催された地球惑星科学連合集会期間中の地学教育フォーラム交流会や教育検討委員会などへの参加、他のいろいろな事が重なり、ブログ記事を書き上げる気分的余裕がなかったのが大きな理由である。

とは言え、この間、立ち続けに開催された科学コミュニケーション関連イベントのいくつかに参加したり、SNSでの知人たちと意見交換する中で、以下の思いを強くした。

ここ数年、いわゆる「科学コミュニケーション」活動と呼ばれるイベントが盛んにおこなわれるようになった。そのためか、科学コミュニケーション活動に強い関心を持つ学生も増えてきたように思う。しかし、多種多様な「科学コミュニケーション」活動の各々が様々な問題を抱えているのみならず。また「科学コミュニケーション」全体像が不明瞭である。このことが、「科学コミュニケーション」活動にこれから取り組もうと考えている人たちに戸惑いを与え、「科学コミュニケーション」活動を始めることへの躊躇を招いているように思われる。このような状況を何とか改善し、多くの学生や若人が「科学コミュニケーション」活動に参入できる環境を整える手助けをするのが、年寄の役目であろう。

このような思いの下、わが国の科学コミュイケーションの全体像について考えたことを以下に述べる。
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2015年01月31日

STAP騒動で露わになった科学コミュニケーションの課題

昨年の国内科学関連の話題の中で最も注目を浴びたのは、青色LEDに関するノーベル賞とSTAP細胞論文データねつ造事件(STAP騒動)であろう。STAP騒動はマスコミによる大々的な報道に始まり、データねつ造疑惑の指摘、論文取り下げを経て、理研による12月19日の「STAP現象の検証結果」の資料公表と、12月26日の「研究論文に関する調査委員会」報告でひと段落した。とはいえ、まだ理研の管理責任と不正論文投稿が進められた原因の究明、研究不正の再発防止策の策定などの課題が残っている。最近では、1月7日に文芸春秋社から出版された須田桃子著「捏造の科学者 STAP細胞事件」や日経サイエンス2015年3月号「特集1:STAPの全貌」が話題となっている。以下では、STAP騒動を科学コミュニケーションの側面で考えたことを述べる。
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2014年08月19日

科学に関する7月15日-8月16日のツイート

以下のツイートのまとめと補足
科学の営み(7件):
7月15日(2件)、7月22日(1件)、7月23日(1件)、8月7日(1件)、8月15日(1件)、8月16日(1件)
 
科学コミュニケーション関係(6件):
7月19日(1件)、7月22日(1件)、7月25日(2件)、8月3日(1件)、8月4日(1件)
  
 
 
13件のツイートを読む
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2014年07月13日

科学関連のツイート(6月20日-7月12日)

科学技術政策、科学コミュニケーション、科学リテラシーに関連する6月20日から7月12日の7件のツイート。 7件のツイートを読む
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2010年11月07日

科学者の科学リテラシー

10月6日付けで八代嘉美さんがSYNODOS JOURNALで公表した「科学者が発言するということ」と題する記事を読んで、科学の営みについての説明の一部には強く同意するものの、福岡伸一さんの著書への批判の仕方について違和感を感じた。他方、毎日新聞東京版朝刊のコラム「時代を駆ける」で10月13日から9回にわたって23日まで連載されていた福岡伸一さんへのインタビュー記事の最終回の「研究は個人的な営み」という副題の記事にも違和感を感じた。以下は、その詳細(八代さんと福岡さんに対し、かなり批判的な内容になっています。ご容赦ください)。

拙ブログ関連記事:
2007年08月05日 サイエンスリテラシー
2008年05月06日 科学について知っていてほしい5つの事

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2010年02月20日

2010年2月14日-16日のTweets

2010年2月21日14時10分 一部改訂

最近のTweetの一部を以下に再掲し、補足説明します。
2月14日 気象学者が私財投じて無人観測所の周辺整備
2月14日 「研究者の職業化」と「科学の技術化」
2月16日 シミュレーションで「発見」はあるのか?


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2009年12月06日

シミュレーションは科学か?

時折、拝見しているブログ「なにわ海洋生物研究所(別館)」の11月24日付けの記事「スーパーコンピューターの是非」
地球温暖化をはじめとする地球規模でのシミュレーションですが、ここで示された結果は、あくまでも「予測」であって、「真実」ではないのです。

つまり、予測の話をあたかも真実のように語るシミュレーションは、最近、話題になっている「ニセ科学」と紙一重にあるかもしれません。

本当の所は、シミュレーションは科学なのか、という本質が議論の対象になっていないのが、残念なところでもあるのです。
という記述に違和感を覚え、そのコメント欄でブログ主のイソガニ博士さんと意見交換をさせて頂いた。

いろいろな意味で「シミュレーション」全盛の世の中であるが、「シミュレーション」を含む「数値計算」について、多くの誤解が広がっているようである。以下に、その解説を試みる(適切な教科書が手元にないので、自己流のまとめです)。

拙ブログ関連記事:
2008年06月30日 シミュレーションだから現実はわからないか?

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2009年03月22日

「科学評論家」が不要な社会に

ブログ「5号館のつぶやき」の3月15日の記事「科学技術コミュニケーション: 解説から批評へ」についてちょっとした議論が続いた。stochinaiさんの
今我々に必要なのは、人々に科学技術の素晴らしさを理解させる「理解増進」でも、科学技術の危険性を一方的に訴える「科学批判」でもなく、冷静に科学技術を評価しコメントすることのできる批評家あるいは評論家なのだということを改めて気づかされた思いがしました。
という文章を読んで、評論家と自称している、あるいは呼ばれている人に不信を抱いている管理人は、ブログ「なぎのねどこ」さん、や他の方たちとは違う意味で違和感を感じた。


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2009年02月02日

「希望」を生み出す装置としての科学リテラシー

ブログ「Chromeplated Rat」の記事「守る、ために」を通して、ブログ「地獄のハイウェイ」の「何のための科学リテラシーか 」という記事で、科学リテラシーの必要性について記述されているのを知った。この記事に触発されて、これまでの「科学リテラシーの普及が日本を変える」という自分の思いについて今少し深く考えてみた。

関連記事:
拙ブログ:「安全。だから安心」となるために 
拙ブログ:科学の営みに必要な判断・思考力
拙ブログ:科学について知っていてほしい5つの事
拙ブログ:サイエンスリテラシー
ブログChromeplated Rat:守る、ために
ブログ地獄のハイウェイ:何のための科学リテラシーか


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2008年11月23日

サイエンスアゴラ2008

2008年11月27日1時40分 追記

昨日午後にサイエンスアゴラ2008に行ってきた。会員になっている「NPO法人サイエンス・コミュニケーション」が企画した「日本の科学技術コミュニケーションはいかにあるべきか? 第四期科学技術基本計画に向けた提言」と事前登録した「日欧米国際シンポジウム~地球の環境と科学リテラシー」に参加するのが主な目的であった。1時45分に東京国際交流館に到着し、すぐに、「日本の科学技術コミュニケーションはいかにあるべきか? 第四期科学技術基本計画に向けた提言」の会場に向かった。2時半までの後半のみの参加になってしまったため、全体の議論の成り行きを十分に把握できなかったが、会場のメディアホールがほぼ満席となるほどの予想以上の参加者があり、「第四期科学技術基本計画」についての関心の高さを知った。なんとか形あるものに提言をまとめなければならないという思いを強くしたが、多様な参加者を見ると、その難しさも予感している。

2時半から3時半までは東京国際交流館1Fと3Fの各種のポスター・ブース展示を見た。懸案となっていた横串会への入会手続きを行った。プログラムによると隣の日本科学未来館では多彩な催しが行われているようであったが、見学する時間がなかった。「日欧米国際シンポジウム~地球の環境と科学リテラシー」は参加者は50名程度(厳密に数えてはいない)であったが、非常に面白かった。以下に、その詳細を紹介する。

関連記事:
サイエンスアゴラ2007 
Inquiry-based science education 


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2008年10月27日

「安全。だから安心」となるために

関連記事:科学技術専門家の権威

最近、いくつかのブログで「安全。でも安心できない・・・― 信頼をめぐる心理学(ちくま新書、中谷内一也著)」が話題になっている。
ブログ「独り言つ」の2008年10月16日付け記事「安全。でも安心できない・・・」
ブログ「きっと一生わからない」の2008年10月23日付け記事「安全。でも安心できない・・・」
ブログ「若だんなの新宿通信」の2008年10月24日付け記事「安心は信頼から生まれるんじゃないかな」

これらのブログに触発されて、「科学リテラシー普及の意味」とか「信頼のマネージメント」とかについて、いろいろ考えを巡らしていた。その最中、サイエンスの10月24日号のPolicy Forumに「Risk Communication on Climate: Mental Models and Mass Balance (Science (24 October 2008: Vol. 322. no. 5901, pp. 532 - 533, DOI: 10.1126/science.1162574)、気候についてのリスクコミュニケーション:精神構造と質量保存」と題する寄稿が掲載されているのが目にとまった。

これらの記事からリスクコミュニケーションについて、あれこれ考えたことを述べる。


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2008年08月24日

科学技術専門家の権威

ブログ「5号館のつぶやき」に「信頼を失った権威」と題するエントリーが10日前の8月13日にアップされていた。この題目に違和感を覚えた。それは、「信頼」は基本的には対等な人間の間での意識であるのに対し、「権威」は上下関係を構成する要素の一つだと管理人は思っていたためである。このエントリーの内容は、
現代日本の科学の繁栄は専門家が築いたものです。専門家の信頼性に疑問を持つ人は、日本の科学技術の繁栄を、どう考えるのでしょう。何を理由に専門家が信頼出来ないのでしょうか?
という別のエントリーのコメント欄での読者の質問へのstochinaiさんの回答であったが、ますます混乱した。それは、質問が「科学技術の専門家集団が非専門家からの信頼を失っている理由」を問うているのに、回答が「信頼性(権威)を失ったものは専門家以外にもたくさんあります。」と「信頼性=権威」いう認識の言葉で始まっていることにある。


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2008年06月27日

科学の営みに必要な判断・思考力

拙ブログの記事「科学について知っていてほしい5つの事」での「4.だれでも科学を営むことができる。」の補足説明で、
科学は、基本的には、だれもが日常的に用いている科学的思考方法そのものにすぎない。科学的思考方法についての理解が十分にあれば、だれでも自分が必要とする科学的結果(科学知識の一部)を自分で導き出すことができる。ただし、そのためには、自律した人間として、他人の言動に惑わされず主体的に判断・思考する能力と十分な時間が必要である。
と述べた。こうは書いたものの、「他人の言動に惑わされず主体的に判断・思考する能力」とはどういう能力なのかを十分に具体的に説明しておらず、気になっていた。こうした中、lets_skeptic(懐疑論者)さんのブログ「Skepticism is beautiful」のいくつかの記事で触発されたことを以下に述べる。



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2008年05月28日

「21世紀の科学技術リテラシー」

25日午後に「21世紀の科学技術リテラシー 第1回シンポジウム」に参加した。午前10時からの開催であったが、都合により、午後から参加した。

13時15分からの北原和夫さんの基調講演は「科学技術の智」プロジェクトの概要と「21世紀の科学技術リテラシー像」であった。ご自分の略歴の紹介を通して、このプロジェクト開始に至る個人的動機の説明の後、配布された総合報告書概要に沿った話が始まった。


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2008年05月17日

未成熟科学

一部加筆修正 2008年5月17日15時

ゴールデンウィークの最中の5月3日に、大学教員時代の教え子の結婚式に出席するため、東京駅から結婚式場の送迎バスに乗って君津市へ行った。新郎とその同期生5名と再会し、楽しいひと時を過ごすことができた。7,8年前の卒論指導時には大いに苦労した学生達だったが、各々が社会人として立派に活躍しているのを聞いて嬉しかった。

結婚式場への送迎バスを待つ間に、丸の内OAZOの丸善を覗いた。池内了の「疑似科学入門」が目に入ったので購入した。一通り読んで、それなりに納得したところも多々あるが、ちょっと乱暴な言い回しも散見し、ニセ科学批判に熱心な人には訴えるところが少なく、科学に不信を抱いている人には説得力がない内容のように思った。科学、特に「複雑系」についての解説に同意するところは多いのだが、主眼を疑似科学に置いて、疑似科学の説明の一環として、科学について述べているため、印象が薄い。著者が伝えようしている「一人ひとりが自ら考えることの大切さ」に管理人も強く同意している。しかし、このことを読者に伝えることの難しさを痛感した。

こんな中で、「未成熟科学」という言葉(著者の造語)に出会った。


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2008年05月06日

科学についての知っていてほしい5つの事

タイトルを「科学について知っていてほしい5つの事」に訂正します。
一部を修正・追加 2008年5月7日02時

本ブログの4月9日の記事「科学についての知識」の最後で、ブログ「ハーバード大学医学部留学・独立日記」で島岡さんが、以下の記述(原文:Chad Orzel教授、和訳は島岡さん)を紹介していることに言及した。
サイエンスについて知っておくべき3つの”定理”
(What Should Everyone Know About Science?)
1)サイエンスとはプロセスであり、単なる実験結果の集積ではない(Science is a Process, Not a Collection of Facts)ーサイエンスの本質とは”世界”がどうゆう仕組みで動いているかをシステマティックに解明するアプローチである(The essence of science, broadly defined, is that it is a systematic approach to figuring out how the world works)ー
2)サイエンスはひとをひとたらしめる営みである(Science is an essential human activity)ー芸術がひとをひとたらしめるのと同じく、サイエンスもひとをひとたらしめるー
3)サイエンスはすべてのひとのためにある(Anyone can do science)
この記事に触発されて、Department of Physics and Astronomy, Union College, NYのChad Orzel教授のブログUncertain Principlesの記事「What Everyone Should Know About Science」(3月3日投稿)およびこの記事への4月8日までの米国内でのコメントを参考にして、文系の人も含めた一般の人向けに、PISA2006における科学リテラシーの4つの構成要素の一つである「科学的知識」の中のカテゴリー「科学についての知識」を以下のような「科学について知っていてほしい5つの事」として、私なりにまとめてみた。

科学について知っていてほしい5つの事
1.科学は試行錯誤の過程である。
2.科学は既存の科学の知識の集合体ではない。
3.科学は人を人たらしめる営みである。
4.だれでも科学を営むことができる。
5.科学が価値を決めることはない。


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2008年04月09日

科学についての知識

本ブログでは昨年12月17日の記事「科学リテラシー(2)」以来、PISA2006を基に科学リテラシーについて論考してきた。それは、管理人は「科学リテラシーの普及が日本を変える」と考えているが、この科学リテラシーに言及している種々の記事を読んでも、そこでの、「科学の知識と素養」、「科学についての、よみ・かき・そろばん」のような説明や「科学リテラシー=基礎知識・技術」という取扱いが管理人のイメージからは大きくかけ離れているように感じていたためであった。

最近、12月17日の記事で言及したブログ「教育の窓・ある退職校長の想い」でtoshiさんが、以下の5つの記事でPISA調査内容を詳しく分析されていることを知った。
1)PISA調査へのちょっとした疑念?
2)PISA調査批判(1)いただいたメールから
3)PISA調査問題には、問題が・・・?(1)
4)PISA調査問題には、問題が・・・?(2)
5)PISA調査問題には、問題が・・・?(3)


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2008年01月28日

科学リテラシーの構成要素

前回のエントリーで、PISA2006における「科学についての知識」の定義(注)を紹介したが、その本題に入る前に述べた科学リテラシーの構成要素についての訂正が舌足らずであったため、亀@渋研Xさんに
そうだとすると、なんか修正すべきなのか。書きっぷりからは、そうでもなさそうなんだけど。
と悩ませてしまう結果を招いてしまった。改めて、PISA2006における科学リテラシーの構成について以下に述べる。

注)第12回教科「理科」関連学会協議会 [CSERS] シンポジウム「市民として身につけるべき科学リテラシー」で国立教育政策研究所の小倉康さんによって配布された資料に基づく。


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2008年01月14日

PISA2006における「科学についての知識」の定義

昨年12月28日のエントリー「科学リテラシー(3)」で、PISA2006の調査問題における「能力」と「知識」の各要素の割合を紹介した。そのエントリーで詳細の提示を割愛したPISA2006における「科学についての知識」のカテゴリーについて以下に述べる。

はじめに、先のエントリーでは、12月8日に開催された第12回教科「理科」関連学会協議会 [CSERS] シンポジウム「市民として身につけるべき科学リテラシー」で国立教育政策研究所の小倉康さんによって配布された資料には、「科学リテラシーの3つの構成要素である「科学的な能力」、「科学の知識」、「科学についての知識」の各々のカテゴリーの詳細が示されている」と述べたが、これは厳密性に欠けた表現であったことをお詫びして、以下のように訂正します。


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2007年12月28日

科学リテラシー(3)

前回の記事を「亀@渋研X」さんにTBしたところ、私がPISA2006の科学リテラシーの定義について「その表現が抽象的で良く分からない」と述べたことについて、翌日に「PISA「科学リテラシー」の定義」というエントリーをTBして頂いた。ありがとうございました。

「亀@渋研X」さんのご推察の通り、私が気になったのは、PISAの定義の述べている、例えば「科学の特徴的な諸側面」や「科学的な考え」という言葉があまりにも漠然としていることであった。概念の定義であるから仕方がないとも思うが、「科学の特徴的な諸側面」とは具体的にはどのような側面であるのか、あるいは「科学的な考え」とは具体的にどのような考え方なのか、を明示しなければ、定義としては不十分であると考えた。

ネット検索で、国際基督教大学の北原和夫さんが研究代表者となって、平成17年度年度科学技術振興調整費によって「科学技術リテラシー構築のための調査研究
」が始められていることを知った。


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2007年12月17日

科学リテラシー(2)

11月26日のエントリー「サイエンスアゴラ2007」で「科学リテラシーの普及が日本を変えると考えている」と述べた。これは,8月5日のエントリー「サイエンスリテラシー」で述べた「良き市民にはサイエンスリテラシーが備わっている」という科学リテラシーについて私の持っているイメージによる。

しかし、科学リテラシーに言及している種々の記事を読んでも、そこでの、「科学の知識と素養」、「科学についての、よみ・かき・そろばん」のような説明や「科学リテラシー=基礎知識・技術」という取扱いは私のイメージからは大きくかけ離れているように感じていた。もっと、私の思いを端的に表している記述はないのだろうかと、調べてみた。


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2007年08月05日

サイエンスリテラシー

昨日午後に、茂木健一郎さんがソニー教育財団講演会で理科教師を対象として科学と科学教育について行った90分間の講演・質疑応答の録音記録「科学という文化」を聴いた。その内容は、日頃、私が科学研究について思い、考えていることと多くの点で一致しており、大いに力付けられた。


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2007年03月05日

分かりやすさ

ここ数日来,海洋学会教育問題研究部会で製作中の小学生向けの「海の自然科学教室HP」に掲載する海洋大循環他の説明文の改訂作業に苦闘している.

昨年11月の原案作成時には多忙で協力できなかったので,研究部会会員として,せめてもの貢献として,原稿の記述と図の校閲・確認作業に取り組み,結果を原稿作成に寄与されてきた部会会員に伝えた.担当者の方々のこれまでの献身に敬意を表し,自分の役割を校閲担当に限定して,原稿の問題点の指摘のみに留めるつもりだったが,具体的な修正案の提案を依頼された.

始めてみると,限られた字数で,小学生にも理解できるような「分かりやすい」解説を記述することの難しさを痛感した.海洋学は地球流体力学と生物地球化学を基礎としている.その基礎知識を持たない小学生に,限られた字数で詳細に説明することはできない.このため,結局,多少は「複雑な海の不思議」の面白さを伝えることができたとしても,全体として,天下り的な記述,あるいは知識の切り売り的な記述になってしまった.幾多の観測事実に基く理論の展開の過程に言及して,複雑な海の自然の理解を深めていく面白さを伝えたかったが,とてもできることではなかった.

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