2023年01月21日

新年のご挨拶2023

新年が明けて、すでに3週間が過ぎてしまいましたが、例年に倣って、本年の年賀状に記載しました文章を以下に再掲し、新年のご挨拶と致します。
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謹 賀 新 年
本年の皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

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これまでおこなってきた海洋学・海洋教育の普及推進、科学コミュニケーション、理科・地学教育関連の活動の他に、旧年中には、学術会議の民間版である日本科学振興協会のさまざまな活動と某都立高校の探求学習指導補助が加わり、多忙な毎日を過ごしています。新型コロナ禍が収束しない中、健康に恵まれ、いろいろな活動を続けることができる幸運に感謝しています。

元気に遊ぶ子供たちの幸せを願うと、我が国の将来の姿に不安を抱かざるを得ません。主義・主張・立場・経験の違いを超えた対話を重視しない状況を改善するため、迂遠な方法ですが、「豊かな想像力」と「広い心」を持つ人が一人でも増えることを願って、今後も、自分に出来ることを、多くの仲間とともに、楽しく続けていこうと思っています。

令和5年 元旦

年賀状全体イメージ画像
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イラスト:
年賀状わんパグ2023無料イラスにトとテンプレート
年賀状イラスト 卯の土鈴3
http://illustwanpagu.sakura.ne.jp/i2023/i-usagi68.png

年末から抱えていた締め切りに追われ、いつものブログ更新を新年早々におこなうことができない日々が20日以上が過ぎてしまった。これ以上、先延ばしにしたら、そのまま新年の区切りのない状態が続きそうなので、ちょっと無理をして、以下に、上の文面の補足として、新年を迎えるにあたって、旧年を振り返りながら思うことなどを述べる。

1.出会いと別れ
旧年中は、新型コロナ禍は収束したとは言えないものの、対面形式での集まりが緩やかに復活した。その中で最も印象に残ったイベントは、管理人とっては、6月にお台場で開催された日本科学振興協会(JAAS)のキックオフイベントであった。2021年3月に日本版AAAS設立準備委員会に参加し、「日本の科学を元気に!」をキャッチフレーズにして、民間版学術会議の設立を目指してオンライン会議であれこれ意見交換をし、2022年2月22日にJAASがNPO法人として認可された。この活動の中でオンラインでお会いした種々の分野の研究者、科学コミュニケータの他、科学振興に関心を持つ方々と、キックオフイベントで始めてリアルにお会いして親交を深めることができた。また、6月から某都立高校の探求学習アシスタントを始めたのも、昨年の大きな出来事の1つである。高校教育の現場で、それぞれ異なる経歴を持つ他の4名のアシスタントの方、現役高校生、高校教員の皆さんと新たに出会い、交流する貴重な機会を得た。この機会に得られる様々な体験を今後の科学コミュニケーション活動に活かしたいと思っている。

2019年以来3年振りにオンサイトで開催されたサイエンスアゴラ2022で、海洋学会教育問題研究会会員の皆さんと一緒にブース出展できたのも楽しい思い出である。サイエンスアゴラでは、科学読み物研究会の皆さんの他、JAAS会員、管理人が月1回勤務する某サイエンス教室支援スタッフの旧同僚や9月に開催された日本海洋教育学会設立大会で久々にお会いした日本科学未来館の方と再会できたのも嬉しかった。

他方、旧年中に、管理人が海洋学研究者の道を歩む中で交流のあった宇野木早苗先生、鳥羽良明先生、柿沼忠男さん、諏訪浩さん、柳哲雄さん、青山道夫さんがお亡くなりになったのは悲しい出来事であった。特に、管理人と同じ研究室の同期であった柳さん、管理人の学生時代の下宿の近くにご実家があり、4回生夏の焼岳土石流観測でのお手伝い以来、同じ同窓会幹事としてお世話になった諏訪さんの逝去は残念でならない。また、海水の栄養塩濃度分析手法や海洋中の放射性物質の分布解析の分野で世界的にご貢献された青山さんとは、分野は異なるものの国内外の様々な会合でご一緒し、5月には幕張で開催された地球惑星科学連合2022年大会で偶然、昼食を共にしていただけに、突然の訃報に驚いた。

昨年73歳になった管理人は、人それぞれに寿命があるのは身に染みて分かっているつもりだったが、深い悲しみに襲われた。残された者としては、故人の思い出を胸に、日々を精一杯、やりたいことをして、楽しく生きていこうと思っている。また、旧友とは、会える機会があれば、その時には必ず会うようにしようと思っている。

2.国内外の政治経済社会情勢
新型コロナ禍は収束したとは言えない状況の中、世間は日常をほぼ取り戻しているように見える。それはある意味で喜ばしいことだとは思うが、その陰で献身的に活動されている医療従事者の皆さんのご尽力に対する敬意と感謝を忘れてはならないと思っている。

旧年2月24日から始まったロシアによるウクライナ侵攻は大きなショックだった。ロシアの侵攻に強く反対するものの、具体的に行動することはできなかった。現状、侵略されたウクライナは勿論、侵略したロシアの国民の多くが戦争の犠牲となっている。世界各地の人々も、食糧、エネルギーの供給網の混乱の犠牲となっている。喜んでいるのは軍需産業関係者くらいであろう。

ロシア軍の侵攻を機に、中露の脅威に対して、我が国の軍備増強を図る政策が進められている。管理人は、これに強く反対する。軍備増強は、外交カードの1つかもしれないが、互いの不安と猜疑心を増し、武力衝突発生の可能性を高める効果の方が大きいように思う。我が国の防衛は、外交交渉能力の強化と、民間人の間の交際交流による相互理解の促進の他にないと思う。また、仮に我が国を侵略しても、政治的、経済的に得るところが少ないことを知らしめることにあるように考えている。そのためには、国民が国の在り方に高い誇りを持ち、傀儡政権に対する不服従活動やサボタージュ戦術などを国民が共有すること考えられる。

我が国の一部の大学の研究力向上のために10兆円ファンド構想が進められている。我が国の科学技術開発能力を回復させるためには、一部の大学や分野に重点的に投資するのではなく、広い分野で、より自由な発想で様々な課題に挑戦できるポストと経費を準備する仕組みが必要だと考えている。

国内外の政治経済社会軍事政策の決まり方を見ていると、世界とわが国の未来に強い不安を抱かざるを得ない。相手の主義・主張・立場・経験を理解するよりも、己の主義・主張・立場・経験に強く拘り、相互の主義・主張・立場の違いを超えた対話をしようとしない個人、政党、国があまりにも多いように思う。このような状況を改善するためには、迂遠な方法だが、「豊かな想像力」と「広い心」を持つ人が一人でも増やす活動を続けるしかないように思っている。

3.おわりに
今年の年賀状の中に、「豊かな想像力をどうやって育てるのか、迷っている」という言葉があった。管理人は、最近、「広い心」の源には「豊かな想像力」があり、「豊かな想像力」は「無意識の偏見」を自覚し、それ捨て去る努力を積み重ねることで涵養される、と考えるようになった。それは、多くの人は、自分の主義・主張が自分の立場・経験によって暗黙の裡に育まれた「無意識の偏見」から生まれたものであることに思いが至らず、絶対的な真理と思い込む傾向にあり、そのために他の人の「無意識の偏見」にも思いが至らず、「広い心」を持たないと考えられるためである。

「無意識の偏見」にはいろいろあるが、自然現象についての「素朴概念」もその一種であると言えるだろう。科学の歴史は、自然現象についての「素朴概念」が科学的アプローチによって精緻な概念への進化した歴史と言える。このように考えると、「科学の営み」についての理解を広めることが、「広い心」を持つ人を増やすことにつながると言える。このような考えから、管理人は、今後も、自分に出来ることを、多くの仲間とともに、楽しく、海洋科学コミュニケーション活動を続けていこうと思っている。

今年は、昨年に増して、いろいろなオフラインイベントが開催されるようになり、忙しくなりそうである。多くのイベントでさまざまな方々との交流を深めることできることを楽しみにしている。
posted by hiroichi at 03:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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