2013年05月21日

どうして海洋教育が必要なのか?

2013年6月2日18時55分 改訂
私たちの生活と種々の面で密接につながっている海洋について、学校および社会施設で行なわれている教育活動を「海洋教育」と呼ぶ。しかしながら、「海洋教育」という言葉は今の学習指導要領にはない。現行の小中学校・高校での理科教育の中で海洋についての基礎知識を教えているのは、履修する生徒が比較的少ない高校地学教育において気象・気候分野で大気と合わせて触れられている程度である。現状では、例えば、一部の学校の「総合的な学習の時間」に行なわれている海岸での体験学習や、水族館・博物館での学習イベントなどがこれに該当する。
 海洋基本法が2007年4月に制定され、ようやく関係者の間で「海洋教育」推進の枠組みが作られようとしている。以下、このような「海洋教育」についてのあれこれ思うところを述べる。

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1.海洋教育の現状
 昨年12月21日に日本財団から「小中学校の海洋教育実施状況の調査結果」が発表された。そのp.10で、全国6700名(1校1名)の小中学校教員の約3割しか「海洋教育」という言葉を知らないことが報告されている。このことに驚いて、12月26日にTweetしたところ、事情通である海洋学会教育問題研究会メンバーから「日本では海洋教育が行われていないのだから、多くの小中学校教員が知らなくてあたりまえ」というコメントを頂いた。これにはあまり驚かなかったが、ブログで地球環境問題について活発に発信されている研究者から「私も実は海洋教育を知らない」というコメントを受け取ったのはショックであった。その後、日本財団と海洋政策研究財団の招請により本年1月22日に開催された「海洋教育連絡会議」に参加した。この会議の参加者の間でも海洋教育の定義が十分に確立していないように感じた。さらに、2月9日の研究者ネットワーク(仮)のブレスト飲み会で、ポスドク問題などに関心を持って集まった他の参加者への自己紹介で管理人が「海洋教育の普及・推進」活動をしていることを述べたのに対し、「海洋教育って何ですか?」と訊かれて、科学に関連する職に携わっている人々の間にも「海洋教育」があまり普及していないことを痛感した。
 先に述べたように、現行の小中学校での理科教育では、海についての項目はほとんどないに等しい。一部の海浜に近い学校で「総合的な学習の時間」に海岸での生物観察などが環境教育(自然体験学習)の一環で行なわれている程度である。それは、1958 年の指導要領の改訂で、それまでの単元学習制から系統学習制へ移行したことによることが指摘されている。水産高校を除く高校での理科教育の中で海洋についての基礎知識を教えているのは、高校総合理科Bでわずかに触れている以外では、高校地学のみである。高校地学を履修する生徒の数は、他の理科3教科に比べて格段に少ない。しかも、このような高校地学では、気象・気候との関わりと津波以外の海洋の諸過程については、ほとんど触れられていない。特に、地学が、理科4科目の一角として、物理学、化学と生物学から分離・併行しているため、海洋科学の総合科学としての取り扱いが欠如している。
 海洋は、高校地学教育が対象とする気象・気候現象との関連の範囲を超えて、私たちの生活と密接につながっている。例えば、
・食糧や石油・鉱物資源の輸入は海上輸送に大きく依存している。
・商船の安全航行の障害になる氷山・流氷・流木などは海流、潮汐流と海上風の影響を大きく受けながら漂流する。
・有用資源生物の資源量の変動にかかわる卵・稚魚・仔魚・成魚および餌生物の現存量とその変動には、漁業活動と、水温、塩分、流れ、栄養塩などの分布が密接に関連している。
・水産養殖場・沿岸漁場の環境悪化や赤潮の発生には、生活排水や産業排液などによる海洋汚染・富栄養化と沖合の海況変動が関係している。
・国民の重要なリクリエーションの場である海浜域は、潮汐、潮汐流、波浪などの影響を恒常的に受けながら、時には、津波、高潮などよって甚大な被害を受ける。
・海外との情報通信には海底敷設電線が大きく貢献し、海底油田などの海底地下資源は世界の経済と深くかかわっている。
 このように海洋と私たちの生活との間には密接なつながりがあり、国民の中には、海に対する素朴な関心をもっている人も少なからず居る。しかし、海についての総合的な教育が学校教育現場で欠如しているために、海の複雑な自然現象が人間活動に強い影響を与えているとともに、微妙な平衡状態にある海洋への安易な人間活動が取り返しのつかない影響を及ぼす恐れがあるという事実についての認識を多くの人が持っていないという深刻な事態を招いている。
 このような状況を憂慮した日本海洋学会教育問題研究部会(当時)は、2005年に海についての総合的な教育を高校理科教育の中で行うような必修理科の構成案を地球惑星科学連合の集会で提案したが、成果を得ることはできなかった。その後、海洋基本法が2007年に制定されたことに対応して、日本財団・海洋政策研究財団が中心となって、海洋基本法の理念に基づく視点に立ったから海洋教育の推進を目指すという動きが始まっている。次期学習指導要領に対する新提案の作成に向けて、本年1月22日には関係学協会、関係省庁、関係社会施設関係者が集まって「海洋教育連絡会議」が開催された。また、地学教育関係も動き始めている。5月18日午後に幕張メッセ国際会議場で開催された地球惑星科学連合教育問題検討委員会・地学教育シンポジウム「次期学習指導要領での地学教育のあり方」では、地学教育の目的、理科教育における地学教育の位置づけ、地学教育と環境、防災・減災教育の関係、などの諸問題について現場教員、教員養成機関(大学)の間で活発な議論が行なわれた。

資料:
海洋学会の中学高校教科書に対する考え(2005年)
シンポジウム「次期学習指導要領での地学教育のあり方」(2013年5月18日)

2.海洋基本法、海洋基本計画における海洋教育
2007年4月に制定された海洋基本法では、第3章で12の基本的施策を定めている。そ第3章の最後の第28条で、「海洋に関する国民の理解の増進等」について、以下のように定めている。
海洋基本法第28条(海洋に関する国民の理解の増進等)
国は、国民が海洋についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における海洋に関する教育の推進、国連海洋法条約その他の国際約束並びに海洋の持続可能な開発及び利用を実現するための国際的取組に関する普及啓発、海洋レクリエーションの普及等のために必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、海洋に関する政策課題に的確に対応するために必要な知識及び能力を有する人材の育成を図るため、大学等において学際的な教育及び研究が推進されるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
この第1項では、学校教育及び社会教育における海洋に関する教育(海洋教育)の目的は、国際的取組に関する普及啓発、海洋レクリエーションの普及等とともに「海洋についての理解と関心を深めること」であるとしている。また、第2項では、大学等において「海洋に関する政策課題に的確に対応するために必要な知識及び能力を有する人材の育成すること」を目的として学際的な海洋教育・研究を推進することが定められている。

資料:海洋基本法計画(平成19年4月27日制定。7月20日施行)

本年4月26日に閣議決定された第2期海洋基本計画では、第1部「海洋に関する施策についての基本的な方針」、2 本計画において重点的に推進すべき取組の(4)「人材の育成と技術力の強化」および、3「本計画における施策の方向性」の(7)「海洋教育の充実及び海洋に関する理解の増進」で海洋教育が取り上げられている。また、第2部「海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策」、12「海洋に関する国民の理解の増進と人材育成」の(1)で「海洋に関する教育の推進」に触れている。第1部の2(4)では、
海洋立国を実現していくためには、その前提として、海洋に関わる人材の育成と技術力の強化を図っていくことが重要となる。このため、小学校、中学校及び高等学校における海洋に関する教育を充実する。また、大学等における学際的な教育や専門的な教育の推進、基礎的・先端的研究開発の強化、産学官連携の推進等を通じて、海洋立国を支える多様な人材の育成と基盤的な技術力の強化に取り組む。
としている。この文章からは海洋教育の目的が「海洋立国を実現していくための海洋に関わる人材の育成と技術力の強化」の方策の一環であることを示している。ここで、「海洋立国」については、海洋基本法第1章第1条で「国際的協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要である」と記述されている。

資料:海洋基本計画(平成25年4月26日閣議決定,総合海洋政策本部)

結局、海洋基本法の基本理念の下での海洋教育の目的は、
海洋に関わる人材の育成と技術力の強化して、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋立国を実現していく
ことのようである。
 海洋基本法が2007年4月に制定されたのを受けて、海洋政策財団は、学習指導要領と関連付けた海洋教育に関するカリキュラム、単元計画と授業計画案を作成し、2008年に 『21世紀の海洋教育に関するグランドデザイン(小学校篇)』として発表した(その後、中学校編、高校編も発表)。その中で、以下のような海洋基本法の理念に基づいた新たな「海洋教育」の定義(以下、定義Aと呼ぶ)を提案している。
 人類は、海洋から多大なる恩恵を受けるとともに、海洋環境に少なからぬ影響を与えており、海洋と人類の共生は国民的な重要課題である。海洋教育は、海洋と人間の関係についての国民の理解を深めるとともに、海洋環境の保全を図りつつ国際的な理解に立った平和的かつ持続可能な海洋の開発と利用を可能にする知識、技能、思考力、判断力、表現力を有する人材の育成を目指すものである。この目的を達成するために、海洋教育は海に親しみ、海を知り、海を守り、海を利用する学習を推進する。
さらに、海洋基本法の法的根拠と趣旨を受けて、初等中等教育(小中学・高校教育)における海洋教育を推進する日本で最初の研究・実践センターとして、2010年12月に東京大学海洋アライアンスに海洋研究促進研究センター(日本財団)プログラムが発足した。なお、この海洋研究促進研究センターの創発(Webシンポジウム)で、佐藤学センター長は、学校における海洋教育の推進の進め方としては、
海洋教育の推進は「海洋」という新教科を設けることが目的ではない。現在、各教科において分散し断片的に教えられている海洋に関する教育内容を「海洋教育」という総合的包括的な概念によって統合し、その理念にもとづく教育内容の総合性と一貫性を確立し、すべての国民が「海洋リテラシー」を獲得できるよう、カリキュラムと教材の開発を推進し、海洋教育の実践を普及することが求められている。
と述べている。

<参考資料>
海洋政策研究財団編 『21世紀の海洋教育に関するグランドデザイン(小学校篇)』2008年
海洋政策研究財団編 『21世紀の海洋教育に関するグランドデザイン(中学校篇)』2009年
海洋政策研究財団編 『21世紀の海洋教育に関するグランドデザイン(高等学校篇)』2011年
東京大学海洋アライアンス海洋研究促進研究センター
海洋教育促進研究センターの創発─海は学びの宝庫(Webシンポジウム)

4.どうして海洋教育が必要なのか?
 現行の学校教育の状況から判断すると、海洋教育の推進は、海洋研究促進研究センターの創発(Webシンポジウム)で佐藤学センター長の発言を一部変更して、
『「海洋」という新教科を設ける』のではなくて、現在、各教科において分散し断片的に教えられている海洋に関する教育内容の総合性と一貫性を確立して、すべての国民が「海洋リテラシー」を獲得できるようにする
のが良いと管理人は考えている。ただし、ここで何を目的として、どのような「海洋リテラシー」を定めるのかについて幅広く議論・検討する必要があると思う。
海洋基本法の理念に立つと「海洋教育」の目的は、
「広く国民に海洋リテラシーを普及させる」ことによって、新たな海洋立国実現のために必要な「海洋環境の保全を図りつつ海洋の開発と利用を可能にする人材を育成する」
ことになる。これに対応して、海洋教育の定義Aでは、海洋立国実現のために海洋教育で育成する人材が持つべき能力として、「海洋環境の保全を図りつつ国際的な理解に立った平和的かつ持続可能な海洋の開発と利用を可能にする知識、技能、思考力、判断力、表現力」を挙げている。
 しかし、管理人は、海洋基本法の理念を尊重しつつも、このような海洋立国実現のための人材育成に焦点を定めた文脈での海洋教育推進(海洋リテラシー普及)には疑問を感じている。その理由は、私たちの生活と密接に結びついている海洋を素材として、教育基本法で定められている以下の教育の目的と目標を念頭において海洋教育の目的を広く定義する方が多くの国民の支持と理解を得るためには望ましいと管理人は考えているからである。
教育基本法(平成18年12月22日公布・施行)
(教育の目的)
第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(教育の目標)
第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二  個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三  正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四  生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
 海に関わる自然科学と人文・社会科学および技術を体系的・総合的に学習する海洋教育はどうして必要なのか? それは、海洋に関わるわが国の産業や技術開発、教育、研究コミュニティの維持・発展のためではなく、グローバル化した現代社会において子供たちが持っている「生きる力」を強化するためであり、この目的の達成において海洋教育を推進して得られる効果が他の細分化された教科教育よりも大きいと考えるためである。
 海洋教育を通して、生徒たちは、私たちの科学・技術・社会・政治・経済・芸術などの活動と海との間の密接なつながりや防災のための基礎知識と予測・予報の限界を学ぶことで、変動する地球環境の中での多様な社会・国家・国民・個人のあり方を考えることができるようになる。自然界の複雑な現象の観察・観測と資料解析の方法と制約、海の変化の仕組みについて理解を深めるために繰り返された試行錯誤の歴史を学ぶことで、数学、物理学、化学、生物学の基礎知識を学ぶことの楽しさや有用性を容易に知ることができるようになる。また、海洋教育により、自分たちが生活している陸域の現象には、日常的に目にする宇宙と地表と大気のみならず、目の届かない海洋における種々の物理・生物・化学過程が複雑に関連していることを理解することによって、個人的・限定的な経験を超えた現実の社会と自然に対する豊かな想像力と、それを厳密に検証する科学的な方法および科学的な態度を身に付けることができる。この意味で、海洋教育は、より一般的な「科学的な態度(科学リテラシー)」の普及に有効であると管理人は考えている(科学リテラシーについては、以下の拙ブログ関連記事を参照)。
 この観点から、管理人は、海洋教育の定義Aを以下のように変更することを提案する。
 人類は、海洋から多大なる恩恵を受けるとともに、海洋環境に少なからぬ影響を与えており、海洋と人類の共生を追求することは世界共通の重要課題である。海洋教育は、海洋と人間社会との関係および海洋の自然環境についての種々の学習を通して、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な知識、技能、思考力、判断力、表現力を有する人材の育成を目指すものである。この目的を達成するために、海洋教育は海に親しみ、海を知り、海を守り、海を利用する学習を推進する。
拙ブログ関連記事:
2009年02月02日 「希望」を生み出す装置としての科学リテラシー

4.おわりに
5月18日午後には、上述の地球惑星科学連合のシンポジウムと全く同じ時間帯に東京都内で平成25年度教科「理科」関連学会協議会(CSERS)シンポジウム「新学習指導要領は中学校理科教育をどう変えるか」という興味深い集会も開催されていた。その概要は、
新学習指導要領に基づく中学校理科教育ではどのような学力を身に付けさせなければならないのかについて,精力的に教育現場を巡り,全国学力・学習状況調査の調査結果などを基にメッセージを発信されている国立教育政策研究所の田中保樹氏からご講演をいただく。その後,中学校で実際に教えている立場から,新学習指導要領の本格実施後の授業の現状と課題や教科書の内容と使い勝手などについて,4氏より報告をいただき,ディスカッションをおこなう。最後に総合討論では講演,パネルディスカッションをもとに論議を深め,今後の中学校理科教育を充実させる方策を考えていきたい。
というものである。事前に入手した講演資料によると、新学習指導要領に基づく中学校理科教育では、「科学的に探究するような学習を重視すること」が強調されていることを知った。PISA対策のように思えるが、教科書の記載内容の増量と同時に行なわれている点で、OECDが進めるIBSEとは、微妙にずれている印象を受けた。地学を教える中学理科教員の問題として、地学を専門とする教員が少ない(東京都では全理科教員の8%)こと、高校・大学で地学を履修していないため、理科教員の中で地学を苦手とする教員が多いことが挙げられている。また、理科の各教科とも、授業内容に比べて時間不足を嘆く声が多い。管理人が参加した地球惑星科学連合シンポジウムでの発言を合わせると、中学・高校における理科教育、地学教育が抱える問題の大きさと複雑さについて理解を深めたと同時に、今後の我が国の理科教育について、危機感が募った。また、地球惑星科学連合シンポジウムは地学教育における海洋教育の強化の難しさを改めて実感する場でもあった。

学校での海洋教育の普及活動では、出前授業の積極的な推進の他、海洋政策研究財団が刊行した 『21世紀の海洋教育に関するグランドデザイン』のような、現場での海洋教育の手助けとなるコンテンツを数多く含むウェブサイトの開設が急務のように思う。

拙ブログ関連記事:
2008年08月31日 Inquiry-based science education
posted by hiroichi at 02:42| Comment(4) | TrackBack(0) | 教育 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
異議があります。海洋教育=科学教育=理科教育になっているように見受けられます。前に海洋教育の定義(狭義・広義)でも指摘させていただいたように海洋教育の定義自体を変えるべきです。海洋教育は理科だけではありませんし、文系でも海洋教育は必要です。

「自然界の複雑な現象の観察・観測と資料解析の方法と制約、海の変化の仕組みについて理解を深めるために繰り返された試行錯誤の歴史を学ぶことで、数学、物理学、化学、生物学を学ぶことの楽しさや有用性を容易に知ることができるようになる。」

 のくだりには文系はどうでもいいのかと思わざるを得ません。海洋関係者の文系への無理解を是正するほうが先だと思います。
Posted by HMS at 2013年05月21日 06:31
海洋学って興味深いですね。
参考になります。
Posted by 吉沢@外国語 at 2013年05月21日 23:44
HMS様

コメントをありがとうございました。

>海洋教育=科学教育=理科教育になっているように見受けられます。

誤解が解けていないようですが、海洋教育にも広義の海洋科学にも人文・社会科学分野が含まれています。

>のくだりには文系はどうでもいいのかと思わざるを得ません。

高校新課程では文系・理系を問わず「科学と人間生活」を選択しない場合には、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎の中から3科目が必修です。

なお、「科学的な態度」は文系・理系にかかわらず生徒が習得する必要のある素養と考えています。
Posted by hiroichi at 2013年05月22日 02:45
管理人氏

遅くなりまして申し訳ございません。

>誤解が解けていないようですが、海洋教育にも広義の海洋科学にも人文・社会科学分野が含まれています。

 それこそ誤解ですね。「海洋教育にも広義の海洋科学にも人文・社会科学分野が含まれている」と仰いますが、それは「単なる学術分野の総称」であって、「実際に取り組んでいる」ことを意味しません。科学史のみを専門に研究する研究機関も存在しない現状で科学論がどう発達すると言うのですか?震災から2年も経過しているのに「次の震災ではこの大学・研究機関が漂流ブイを流す」という意思表示が海洋学者の側から提言すら未だになされないのはどういう理由ですか?


>高校新課程では文系・理系を問わず「科学と人間生活」を選択しない場合には、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎の中から3科目が必修です。

 存じておりますが、「科学と人間生活」はセンター試験で出題されないことから、履修科目に入れているのは高校職業科ぐらいものです。また文系学部でもセンター試験で基礎を付していない科目を1科目課す大学が少なくないことから、基礎を付していない科目を文系コースでも1科目履修させる教育課程を組んでいる高校が見られます。ですがそれは程度問題であって、大した効用もないのに、やたらに高度な知識を詰め込むのは、闇雲に、ビタミン剤を飲ませるのと同じことです。高校出願時点でカリキュラムなんて判断できませんし、選択科目も高3になって志望大学の変更で、「選択科目間違えたー」というのも大いにあり得ます。その結果がセンター試験に必要になる科目と範囲が自校のカリキュラムに組み込まれておらず、独学で勉強する羽目になります。


>なお、「科学的な態度」は文系・理系にかかわらず生徒が習得する必要のある素養と考えています。

文系の場合、生物を勉強したいとか物理を勉強したくないとかはあまり関係なくて、そもそも理系科目全般に興味がありません。卒業に必要だからやっているだけです。そういう科目に興味があるならそもそも文系に進まないし、趣味で勉強するだけなら同じく独学でやればいいだけでしょう。理系なら物理や化学は数学や英語とならんで必要となる基礎知識ですから、派生的に生物や地学が勉強したければ趣味で勉強すればいいだけのことです。
Posted by HMS at 2013年06月05日 06:49
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