1.組織改革
会議初日には、AGUのアウトリーチ関連の他の2つの委員会の委員長も交えて、AGUのInterim Executive Director(専務理事?)である Robert T. Van Hookが AGUの財政難の現状を示し、運用効率化のための組織改革案(機関誌EOSの9月15日号で公表)を説明した。AGUの主な活動は学術雑誌の刊行、研究集会の開催、社会への貢献であるが、インターネットの発達による雑誌の売り上げの低迷から、現行の会費(個人年会費は20ドル、20年以上据え置き)では社会貢献の資金が不十分であるとの説明であった(このままでは121ドルへ値上げか)。機関誌EOS(週刊)の郵送の中止も検討されている。海外会員としては、現行の会費20ドルは研究集会での発表参加費の一部、あるいはAGUが刊行している学術雑誌(業界での現在の評価はかなり高い。30年前の評価はかなり低かった)を個人で割引購読するためという認識であることを伝えたところ、会費値上げは海外会員には適用しないと考えているということであった。この際だから、ついでに、米国内外で会員を区別するのもおかしいということ、およびアウトリーチという言い方は不適切であり、社会貢献あるいはコミュニケーションとすべきであるることをも述べておいた。なお、9月早々に、新たに、前職がDirector of Communications, Marketing and Sales for the Geological Society of AmericaであったANN M. CAIRNSさんがDirector of Strategic Communications and Outreachが採用され、PICにも全日、参加していた。
組織改革案の骨子は運営管理部門と科学関連部門とを分離することにある(参考図)。科学と社会とのつながりが強くなるに従って、AGUのような組織を運営していくプロとAGUの主な構成メンバーである研究者とのスタンスの違いが顕著になるとともに、ビジネスとしての学会活動の見直しが進められている印象を受けた。
2.ニューメディア
従来のビデオ映像の製作の他、今年の秋季AGU会合(Fall Meeting 2009, FM9)ではブロガーとの懇談会を開催する、YouTubeで研究集会や研修会の模様を流す、などの活動が紹介された。またFacebook, Twitter, LinkedInなどのソーシャルメディアとの関連についても議論された。誰が承認したのか、責任を持つのかという懸念も表明されたが、ともかく、やってみよう、という段階で、推進することにはなった。
ジャーナリズムと他の新たなメディアの将来について、アメリカン大学のDavid Andrew Johnson准教授を招いて話を聞いた。皆がウンザリするほどのお喋りで、一部には興味深いこと(Web3.0の話とか)もあったが、特に深みのある話ではなかったという印象を受けた。とはいえ、こういう人を呼んで話を聞くというスタッフの対応には驚かされた。
3.PICの予算
財政難とはいえ、PICにかかわる今年度予算(未確定、2020 Budget Premises)はスタッフ人員(PIC専任1名+3委員会で分担1名を増やすなどにより、771千ドル(前年比290千ドル増)となるという報告があった。
4.おわりに
5時半のシャトルバスに乗るため、今日の報告はここまでとします。