2009年10月4日17時37分 追記
前回の記事で紹介した天才海洋物理学者ストンメルさんの追悼文で、彼がYale大学へ進学した際には全額奨学金を得ていたことを知った。ひるがえって、このような制度のほとんどない我が国の現状を考えると、裕福な親に恵まれ、塾で受験対策を学んだ器用な秀才が跋扈している最近の我が国においては、ストンメルさんのような天才が世に出ることはないのではないかと暗然とした気持ちになった。そんな折に、例えば、朝日新聞8月5日付けの「成績と親の年収、比例する傾向 小6学力調査を国が分析」と題する記事他で「文部科学省の分析で経済格差が学力格差を招いていることが確認されたこと」が話題になっているのをネットで知った。文部科学省は一体何を考えてこのような分析をおこなったのか、気になったので調べてみた。以下はその結果。
本記事で話題にしていることに8月6日の段階でブログ「PSJ渋谷研究所X(臨時避難所)」さんがその記事「親の収入と子どもの学力の関係:ペアレントクラシー」で言及されていることに気付きましたので、遅ればせながらご紹介します。
1.報道
文部科学省の資料を調べる前に新聞各紙での報道内容をチェックしてみた。微妙なニュアンスの相違を明確にするために全文引用とした。このため、引用部分が長くなってしまったことを予めお断りする。
8月5日3時9分のasahi.com(朝日新聞)の「成績と親の年収、比例する傾向 小6学力調査を国が分析」と題する記事では以下のように述べている。
全国学力調査の結果を分析したところ、保護者の収入が多い家庭、教育支出が多い家庭ほど子どもの成績がよくなる傾向があることが、文部科学省がお茶の水女子大学に委託した調査で確認された。年収によって正答率に最大約23ポイントの差がついたほか、塾や習い事などの支出が「ない」という家庭と「5万円以上」という家庭では、最大約27ポイントの差がついていた。
保護者の収入と子どもの学力の関係について、国が具体的に分析、公表したのは初めて。東京大学の調査でも収入で大学進学率に大きな差があることが確認されており、教育費の公的負担のあり方が一層議論になりそうだ。
調査は、お茶の水女子大の耳塚寛明・副学長(教育社会学)の研究班が昨年度、約6千人の小学6年生について実施。保護者にも年収をたずねて相関関係を分析し、4日、結果を公表した。
それによると、国語のA問題(知識中心)は年収200万円未満の家庭の子どもは正答率が56.5%にとどまったが、年収が上がると、正答率もほぼ右肩上がりに上昇。1200万円以上1500万円未満の層は78.7%に達した。国語B(知識の活用中心)、算数A、算数Bでも傾向は同じで、年収によって最大約20~23ポイントの差があった。
ただし、年収が最も多い区分の1500万円以上では、1200万円以上1500万円未満の層に比べ、四つのテストすべてで微減。0.3~1.4ポイント下回っていた。
研究班は、年収が同レベルの中で比べて、成績が良い子どもに共通するものがあるかどうかも分析。「保護者がニュースについて子どもと話す」「小さい頃に絵本の読み聞かせをした」「家に本がたくさんある」などの項目が当てはまったといい、「幼児期から学校の学習になじみやすい家庭環境をつくることが重要だという示唆」「経済環境による学力差を緩和するカギを握っている」と指摘している。(上野創)
この記事を読んだ限りでは、研究班は経済環境による学力差の原因については言及せずに家庭環境に責任を負わせるという結論のようである。また、記者は教育費の公的負担(何を示しているのか不明)のあり方の見直しを求めているようである。それにしても、見出しで「成績と親の年収、比例する傾向」としているが、どこが「比例」しているのだろうか? 「年収が上がると、正答率もほぼ右肩上がりに上昇。」と「年収と正答率が比例する傾向」とは全く異なる。
「年収によって正答率に最大約23ポイントの差がついたほか、塾や習い事などの支出が「ない」という家庭と「5万円以上」という家庭では、最大約27ポイントの差がついていた。」ということは、正答率は年収の高低ではなくて、単に「塾や習い事」に支出しているか否かが関係していることを示しているに過ぎないように見える。
8月4日21時46分のYOMIURI ONLINE(読売新聞)の「全国学力テスト分析、親の収入高いほど高学力」と題する記事では
新聞記事を話題に…成績アップ効果
親の所得が高いと子供の成績は良いが、低所得でも親の心がけ次第で学力向上につながる――。
昨年度の全国学力テストの結果を、文部科学省の委託を受けたお茶の水女子大の耳塚寛明教授らが分析した結果、そんな傾向が出ていることが4日、明らかになった。全国学力テストの結果と親の所得の関連を追った調査は初めて。絵本の読み聞かせなども成績向上に効果があり、耳塚教授は「経済格差が招く学力格差を緩和するカギになる」と話している。
調査は、全国学力テストに参加した小6のうち、5政令市から100校、計約8000人を抽出し、親と教師を対象に学習環境などを調べた。
世帯収入と平均正答率(国語と算数)の関係を見ると、高所得ほど正答率も高い傾向がみられ、最も平均正答率が高かったのは、1200万円以上1500万円未満の世帯。200万円未満の世帯と比べると平均正答率に20ポイントの開きがあった。
親が心がけていることについて調べたところ、高学力層の子供の親は、「小さい頃から絵本の読み聞かせをした」「博物館や美術館に連れて行く」「ニュースや新聞記事について子供と話す」といった回答が多かった。このうち、「本の読み聞かせ」や「ニュースを話題にする」は、親の所得に関係なく学力向上に一定の効果がみられたという。
調査では、学校での取り組みも調べた。家庭環境にかかわらず、児童にあいさつを徹底したり、教員研修を積極的に行ったりしている20校では、学力向上に一定の効果がみられた。
と述べている。この記事では、「親の所得が高いと子供の成績は良いが、低所得でも親の心がけ次第で学力向上につながる」ことを強調し、「塾や習い事」への支出への成績の依存性に全く言及していない。この結果、世帯収入への成績の依存性については数字を明示して「経済格差が招く学力格差」を具体的に述べておきながら、その緩和にはあいまいな結果を根拠に親の心がけに責任を負わせている。
8月5日付け毎日新聞東京朝刊の「全国学力テスト:親の年収で正答率に差 1200万円超>200万円で20ポイント」と題する記事では、
◇小6学力テスト・文科省委託調査
年収200万円台の世帯と1200万円以上の世帯では、昨年の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率(小6国語B、算数B)に約20ポイントの差があることが、文部科学省の委託調査で分かった。一方、年収にかかわらず、親が「ニュースや新聞記事について子供と話す」「家に本がたくさんある」などと回答した世帯の子供ほど学力が高い傾向もみられた。
文科省の委託を受けた耳塚寛明・お茶の水女子大教授らの研究グループが、昨年12月~今年2月に全国5政令市の小学校100校を対象に保護者約5800人にアンケートし、昨年4月のテスト結果との関係を調べた。
調査によると、基礎問題(A)と活用問題(B)のいずれも、年収が高い世帯の子供ほど正答率が高い傾向があった。最も差がついたのは算数Bで、200万円未満の世帯は42・6%、200万円台は45・7%に対し、1200万円以上1500万円未満は65・9%、1500万円以上も65・6%に達した。
塾や習い事など学校外教育への支出額と学力にも相関があり、全く支出のない世帯は、月5万円以上支出する世帯と比較して正答率が23~27ポイント低かった。【加藤隆寛】
と述べている。統計処理結果を述べているだけで、そこから得られる考察や対策に言及していない。新聞報道の役割を放棄しているようである。
NIKKEI NET(日経ネット)の8月5日01時06分の「学力テスト、世帯年収で成績格差 小6調査、文科省公表」と題する記事では
保護者の年収が高い世帯ほど子どもの学力が高い――。
文部科学省の専門家会議は4日、2008年度の全国学力テストを受けた公立小学校の6年生について調査結果を報告した。年収1200万円以上の家庭で国語、算数の正答率が平均より8ポイント以上高い一方、200万円未満は平均より10ポイント以上低かった。全国学力テストの結果と年収の関係を裏付ける文科省のデータ公表は初めて。
調査は政令市の公立小計100校を対象に実施。6年生8093人のうち5847人の児童の保護者が回答した。
報告によると、基礎知識を見る算数Aで、平均正答率が74.8%だったのに対し「200万円未満」は62.9%。「1200万円以上1500万円未満」は82.8%で19.9ポイントの開きが出た。「600万円以上700万円未満」は74.8%で平均と同じだった。 (01:06)
と述べているだけで、あたかも保護者の年収のみで子供の学力が決まるかのごとき記述である。
時事通信が8月4日21時53分に配信した「小6正答率、世帯年収で差=学力テストの追加分析-文科省」と題する記事では、
年収が多い世帯ほど子供の学力も高い傾向にあることが、2008年度の小学6年生を対象にした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を基に行われた文部科学省の委託研究で4日、分かった。学力テストの結果を各家庭の経済力と結び付けて分析したのは初めて。
委託研究では、5政令市にある公立小100校を通じて、6年生約5800人の保護者から家庭環境などのデータを新たに収集。個人名が分からないよう配慮した上で、学力テストの結果と照合した。
学力テストには、国語、算数ともに知識を問うA問題と活用力を試すB問題があるが、世帯年収ごとに子供を分類すると、いずれも200万円未満の平均正答率(%)が最低だった。
正答率は年収が多くなるにつれておおむね上昇し、1200万円以上1500万円未満だと200万円未満より20ポイント程度高まった。ただ、1500万円以上では正答率が微減に転じた。
と述べている。 NIKKEI NETとほぼ同様である。
東京新聞8月5日朝刊の「親の年収で成績格差 学力テスト 08年小6 1200万円超、正答率高く」と題する記事では、
昨年実施した全国学力テストの公立小六年生の結果について追加調査した文部科学省の専門家会議は四日、保護者の年収が高い世帯ほど子どもの学力が高いとする調査結果を報告した。年収千二百万円以上では国語、算数とも正答率が平均より8~10ポイント高く、二百万円未満は逆に10ポイント以上低かった。所得の高低により算数(B問題)で最大23ポイントの差が開いた。
全国学力テストの結果と年収の相関関係を裏付けるデータの公表は初めて。公教育をめぐり低所得者の支援があらためて課題となりそうだ。
調査は五つの政令市の公立小計百校を選んで六年生八千九十三人を対象にし、五千八百四十七人の児童の保護者が回答した。
結果によると、知識の活用力を問う算数Bの平均正答率は年収による差が最も大きかった。年収七百万円未満では平均の55・8%を下回り、「七百万円以上八百万円未満」は57・1%。「千二百万円以上千五百万円未満」は65・9%と平均を10・1ポイント上回り、「二百万円未満」の42・6%とは23・3ポイントの開きがあった。
学校外の教育費支出を調べたところ「月に五万円以上」は、算数Bの正答率が71・2%だったが、「支出なし」は44・4%で26・8ポイントの差。専門家会議は「年収が高いほど塾など子どもの教育費に投資するため、差が生じた」と分析している。
と述べている。「公教育をめぐり低所得者の支援」および「専門家会議の分析結果」を明示している点で、全国主要4紙や通信社に比べて、最もまともな記事とは思う。ただし、「親の心がけ」に言及してはいない。
2.元ネタ
ネット検索の結果、今回の報道の元ネタは全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議(第13回)の配付資料2「お茶の水女子大学委託研究 (PDF:533KB)」という全37ページの報告書であった。プレスリリースまたは記者会見での配布資料は、この抜粋であろう。
その冒頭には、おそらく調査の目的として、以下の文章が枠付き、太字で記載されている。
保護者等に対する補完的な追加調査を設計・実施し、その中で、個人情報を保護しつつデータを収集する手法や、全国調査と補完的な追加調査のデータを結合する手法の開発を行うとともに、得られたデータを用いて、家庭背景と子どもの学力の関係や不利な環境にある子どもの底上げに成功している学校の特徴を探る。あれだけ大騒ぎをして実施した全国学力テストなのに、「何をいまさら」という感じがしない訳でもない。現在の学校教育の危機的な状況に対して、基本に立ち返って状況を認識することの必要性は認めるが、ずいぶんと暢気な問題設定のように思う。
調査データ回収状況に記載されている全教員244名の「とくに得意としている科目」分布を見て驚いた。国語、算数、社会、保健体育、音楽を15%以上の教師が選択している(最大が保健体育の19%、次いで社会の17%))のに、理科を選択した教師は8%にすぎない。理科を得意としていない教師が教える理科を児童が好きになるのは難しいのではないかと思う。
調査結果の第1部では、家庭背景(世帯年収、学校外支出などの背景変数)と子どもの学力(正答率)の関係を浜野隆(お茶の水女子大学)が報告している。その中で、通塾による正答率について以下のように述べている。
通塾による正答率の差は見られるものの、正答率が最も高いのが「学校より進んだ内容や難しい内容を勉強する塾」に通っている子どもである。「学校より進んだ内容や難しい内容」と「学校の勉強でよくわからなかった内容」の両方を勉強する塾に通っている子どもがそれに次いで正答率が高く、次いで「学習塾に通っていない」「どちらの学習内容ともいえない塾」、「学校の勉強でよくわからなかった内容を勉強する塾」となっている。この結果は、通塾が学力に影響するとともに、子どもの学力の水準によって行く塾の性格が変わってくることを示していると思われる。ここでは、「学習塾に通っていない」子どもの平均点は全体の平均点とほぼ同じであることにも注目しておく必要があろう。最後の文章では何を言いたいのだろうか?
また、以下の7項目を結論として挙げている(これらが新聞報道の元のようである)。
(1)世帯年収の高い家庭ほど子どもは高学力である
(2)学校外教育支出の多い家庭ほど子どもの学力は高い。そして、学校外教育支出は家庭の経済力と強い関係がある
(3)保護者の子どもへの接し方や教育意識は子どもの学力と関係している
(4)保護者の普段の行動もまた子どもの学力と関係している
(5)世帯年収を考慮しても、保護者の行動と学力との関係は残る
(6)子どものテレビ視聴時間が少なくなればなるほど正答率は高い
(7)保護者の意識や行動は、子どもの学習への「かまえ」と関係がある
調査結果の第2部では、志水宏吉(大阪大学)と藤井宣彰(国立教育政策研究所)が「不利な環境にある子どもの学力の底上げに成功している学校の特徴―「効果のある学校」研究手法による分析―」を報告している。この結果は、YOMIURI ONLINE以外では言及されていない。確かに報告書を読んでも、明確な結論は述べられていない。ただし、それはそれで良いようにも思う。短絡的に「学力の底上げに成功している学校の特徴」を決められたら、個々の児童に対峙している現場教師には耐えられないと思う。
3.親の収入で左右される学力
全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議耳塚レポートで検討していたのは、学力格差の要因と不利な環境にある子どもの学力の底上げの方策を探ることにあったようである。その結果のほんの一部を報道機関がセンセーショナルに取り上げたのが、今回の「騒ぎ」の顛末のようである。「親の収入で左右される学力」とは塾の効果なのだろう。おそらく、浜野隆が強調したかったのは「(5)世帯年収を考慮しても、保護者の行動と学力との関係は残る」であると思われるが、結論が明確ではないこともあって、その意図が伝わらなかった。管理人は、報告は経済格差による学力格差の解消の責任を家庭に負わせるための証拠集めと誤解してしまった。
4.おわりに
PISAでの評価を上げるため(評価を上げる必要はないという考え方もあると思うが、管理人はPISAの目指す科学リテラシー教育に強く賛同しており、日本の生徒も少しでもその理念に近付いてほしいと思っている)には子どもの学力の底上げを図ることが最も効果的であることを読んだことがある(引用先は失念)。本資料のように、そのための方策を探ることの必要性を否定はしないが、それよりももっと効果的なのは、新たな教育法(探究型科学教育の手法)を修得・理解して、頭ごなしではなく、自分で考えることの楽しさを児童に教え、示すことのできる教師の数を大幅に増やすことだと思う。30年後の社会を見据えれば、今の生活程度を犠牲にしても、このための投資に躊躇する必要はないと思う。
日本が世界に貢献する方法の一つは優れた人材を世界に供給することである。そのためには、子どもの学力の底上げを図る方策も必要だが、特に優れた人材を育てる方策がもっと必要である。ここでいう優れた人材とは塾で高まる程度の学力をもった人間ではなく、世界社会のブレークスルーに貢献する個性的な人材である。このような人材を世に埋もれさせないためには、児童・生徒の個性を尊重する学校教育・社会体制と不利な家庭環境にある優秀な児童・生徒の勉学の機会を保証する制度を確立する必要があると思う。生徒の学力や学校教育についての調査データの統計処理は、学術研究としては面白いかもしれないが、生徒の個性を尊重する教育政策を立案するという道からは遠く懸け離れているという印象を持つ。
注:探究型科学教育については、拙ブログの以下の記事を参照。
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/7835985.html
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/7554787.html
進学塾は凄いですからね。
特に中学受験は、軍隊式の教育に近い
所がありますし。
だから、塾へ通えない人は学力が落ちる
でしょうね。
学校は軍隊式のような教育をしませんから。
学力というのは基本的に受験突破力だと思い
ます。お金や意欲のある親でない限り、学力
は伸びないでしょうね。
また、PISAは国語科しか問題を見たことが
ありませんが、進学校の入試には似たような
問題が出題されることがあります。
個性も、進学校へ行った人間の方が強いので
はないでしょうか?あくまで受験とか勉強とかの
意味で、ですが。
進学校→東大の人で個性的な人もいますしね。
たとえば、宮台真司さんとか。。。
今の教育ってそんなに悪いですかね?
お目汚し失礼しました。
収入が減れば、子供の教育費は大きな負担となります。
長い目で見れば、これは国益の損失になります。
日本政府が、世界中の貧困な地域で、優秀な子供を選抜して、日本人として育てれば、将来の国益になると思っています。
大相撲と同じシステムです。
★
竹内薫の『理系バカと文系バカ』 (PHP新書)という本があります。
厳密な本ではなく、竹内氏の体験談なのですが、読んでいて、今後の日本のことを考えさせられるエピソードが多いです。
特にTVの影響です。
環境問題など、TVの影響がでかいです。
でも放送を作っている側に理科系的基礎教養が少なく、また理科系的思考で作っていない場合が多いそうです。
結論先にあり、というのは理科系的思考ではないと思います。
「なぜ?」という感情が重要だと思います。
私はSFモノや推理モノが好きです。
SFモノや推理モノは創作ですが、「なぜ?」という思考を重視します。
多くの子供にSFモノや推理モノの醍醐味を知って欲しいと思っています。
理科系を好きになるような子供向けの番組が増えれば、理科系を志す子供が増えると思います。
そして理科系教育の需要が高まれば、供給の側も増やしやすくなります。
コメントをありがとうございました。
何かしら元記事の論点からずれているように思いますが、ご返答させて頂きます。
>学力というのは基本的に受験突破力だと思い
ます。
学力=受験突破力ということであっても、どのような入試問題を突破する力なのかが問題だと私は思っています。総合的に考える力ではなくて、瑣末な知識の量や正解を迅速に得るテクニックを求めているのが今の日本の多くで行われている入試だと私は思います(フランスのバカロレア(大学入学資格試験)の哲学の課題のような入試問題が理想的だと思っています)。この問題への対処を学校教育に求めるのは「お門違い」と指摘されるかもしれませんが、このような状況だからこそ、大勢に流されない人間を育てる教育現場が必要だと思っています。
>お金や意欲のある親でない限り、学力は伸びないでしょうね。
親を選んで生まれてきたわけではない子供達の可能性を無視した捉え方と思います。お金や意欲のない親を持った子供たちにも優秀な子供が大勢いると思います。このような子供たちも社会や科学を変革する可能性を持っていると私は思っています。
>個性も、進学校へ行った人間の方が強いので
はないでしょうか?
ここでいう個性は「表に現すことが許された個性」と思います。個性のない人は本来居ないと思います。個性を表すことを許されない、個性を無視された環境に否応なしに表面上、順応させられているだけだと思います。
>進学校→東大の人で個性的な人もいますしね。
たとえば、宮台真司さんとか。。。
進学校→東大の人で個性的な人はたくさん知っています。というか、個性的でない人はいません。それは、各人とこれまでの教育現場での多くの教師の努力の賜物だと思います。それが、今、崩れようとしているのではないか、というのが私の認識です。
>収入が減れば、子供の教育費は大きな負担となります。
教育費に占める個人の負担が大きいことが問題の源でしょうね。教育への投資は未来の日本のみならず世界人類のための投資のはずなのですが、近視眼的で私的な利益追求を是とする風潮が蔓延している我が国では、教育への投資も近視眼的で私的な投資としか考えていない人が多いように思います。そのためか、例えば、「国際人権規約A規約第13条(c)の「高等教育無償化」条項は世界中で日本だけが留保して」います。
参照:
http://www.mumumu.org/~viking/blog-wp/?p=2966
>竹内薫の『理系バカと文系バカ』 (PHP新書)という本があります。厳密な本ではなく、竹内氏の体験談なのですが、読んでいて、今後の日本のことを考えさせられるエピソードが多いです。
私も読みました。「TVの影響」についての言説は良しとしても、かなり乱暴な論旨を展開していて、批判・評価するよりも、悲しさが先に立ってしました。
>結論先にあり、というのは理科系的思考ではないと思います。
>「なぜ?」という感情が重要だと思います。
理系に限らず、文系でも、「なぜ?」という感情が重要だと思います。この感情を大事にする教育を行う時間的、人的余裕があれば、小学校の教育は十分に健全だと思いますが、管理強化が進む学校現場を思うと不安です。
誤解されているかもしれないので補足しますが、私が<理科を得意としていない教師が教える理科を児童が好きになるのは難しいのではないかと思う>と述べたのは、「理科専門教員あるいは理科を得意とする教師を増やすべきである」ということを言いたかったのではなくて、「小学校教師の方々には理科は特別な科目ではないという意識を持って授業をしてほしい」ということでした。それこそ、小学校理科教育の肝は「なぜ?」という感情を大事に育てることだと思っていますから。
>「「小学校教師の方々には理科は特別な科目ではないという意識を持って授業をしてほしい」ということでした」
これは誤解していました。
小学校教師は、理科も国語も同じ教師が教壇に立つのを忘れていました。
だから理科系教師の雇用枠の拡大の話だと勘違いしていました。
私の主張は、理科系の授業時間及び必須科目を増やす。
そのためには、教師の人数を増やさなければいけない・・・です。
ところで、「と学会」の山本弘さんのブログにこんな記事がありました。
http://hirorin.otaden.jp/e51648.html
暗記教育の弊害かな?と思ったりもします。
ご紹介頂いたブログを拝見しました。ありがとうございました。
このブログで紹介されている教師の例は極端だとしても、「なぜ」を考える訓練を受けていないために、教科書や権威者のいうことを簡単に信用したり、現象を表面的・短絡的にしか捉えることができない人が多いように感じています。
乗船中で御礼が遅くなってしまいましたが、コメントをありがとうございました。
>それに対して「なぜだろうね?」と共感することが大切かと思います。
同意します。一般の受験勉強では、「なぜ?」という疑問を持つことはテストの成績を上げる効率を妨げるという理由で否定しているように思います。小学生低学年では理科好きだった生徒の多くが、高学年になると、訳の分からないことを暗記することを求められる結果、理科に興味を失ってしまうことが多いのではないかと思います。
>本当かどうかは「わからない」ことが多い。
「わからない」ことが多いのは確かですが、「なぜだろうね?」と共感した後には、一緒に、本で調べたり、本に書いてあることを確かめたりする行動が重要だと思います。そうすることで、教科書や権威を疑うという批判的思考が身に付いてくると思います。
以下の拙ブログ記事をご参照ください。
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/7321108.html