水産海洋学会のMLで表題のシンポジウムが以下のように開催されることが企画責任者の山本民次さんから告知されましたので、お知らせします。
日時:平成21年3月27日(金)10:00~17:20
場所:東京海洋大学(東京都品川区)第3会場(大講義室)
主催:水産学会水産環境保全委員会
企画責任者:山本民次(広大院生物圏科)
多分、参加費は無料と思います。
拙ブログの本年1月3日の記事「里海」でご紹介した柳さんや中島さん(コメントも頂きました)も話題提供者として名を連ねられています。
管理人も時間が許せば出席したいと思っています。
以下にMLに流れたプログラムと企画の主旨を転載します。
1.プログラム
10:00~ 10:05
開会の挨拶
山本民次(水産環境保全委員会委員長)
座長 瀬戸雅文(福井県大生物資源)
10:05~10:40
1.「里海」のとらえ方いろいろ(趣旨説明をかねて)
山本民次(広大院生物圏科)
10:40~11:15
2.「里海」の理念-自然科学の立場から
柳哲雄(九大応力研)
座長 清野聡子(東大院総合文化)
11:25~12:00
3.地域資源管理システムとしての里海の要件
日高健(近畿大産業理工)
13:00~13:35
4.海洋基本計画における里海の理念と水産環境保全
本田直久(内閣官房総合海洋政策本部事務局)
13:35~14:10
5.「里海づくり」に関する水産庁の取り組み
橋本和正(水産庁増殖推進部)
座長 桜井泰憲(北大院水産)
14:20~14:55
6.生物多様性国家戦略と里海
徳丸久衛(環境省)
14:55~15:30
7.地域ルール実態に着目した「里海」の見方
中島満(漁業史研究者・フリーライター)
15:30~16:05
8.漁師と市民,それぞれの里海.そこからの里海
松田泰明(福井県雄島漁協)
休 憩
司会 山本民次
16:15~17:15
総合討論 パネルディスカッション
発表者全員
17:15~17:20
閉会の挨拶
桜井泰憲(水産環境保全委員会副委員長)
2.企画の主旨
「里山」のアナロジーとして「里海」という言葉が使われるようになってきた.「里海」という言葉は,2006年の世界閉鎖性海域環境保全会議(EMECS7),第三次生物多様性国家戦略,海洋基本計画,水産庁の水産業・漁村の多面的機能の中でも使われ,国内外で次第に市民権を得つつある.「里海」とは自然科学の観点からは「人手が加わることによって生産性と生物多様性が高くなった海」と定義されている.元来,養殖業を含む水産業は海の生産性を如何に高めるかということに努力してきたが,その結果,自然生態系の生物多様性を低下させてしまったかもしれない.一方,社会科学的側面としての「里海」は,沿岸域といういわば共有地の総合的管理を多様な主体を交えて行うためのルール作りや社会システムの再構築にかかわる問題として捉えられている.その背景には,漁業者人口の減少に対して,マリーンスポーツ・レジャーによる利用の増加や,一般市民による環境問題に対する関心や環境教育の場としての利用などがあり,利用・保全・管理について,これまでどおり漁業者のみの枠には収まりきれなくなっている.このように,「里海」は学問的にも,あるいは沿岸域を実際に利用している人々にとっても,まだまだ煮詰まった概念とは言えない.このシンポジウムでは,立場による違いや研究・活動事例を通して,「里海」の概念をさらに昇華させ,今後の沿岸域の水産環境保全に生かしていくことをねらいとする.
2009年03月13日
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Excerpt: 27日に有給休暇をとって、品川の東京海洋大学で開催された標記のシンポジウムに参加した。 会場は満席ではなかったが、それなりの参加者数(80名程度?)であった。水産学会期間中の一般にも公開したシンポジウ..
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