最近、12月17日の記事で言及したブログ「教育の窓・ある退職校長の想い」でtoshiさんが、以下の5つの記事でPISA調査内容を詳しく分析されていることを知った。
1)PISA調査へのちょっとした疑念?
2)PISA調査批判(1)いただいたメールから
3)PISA調査問題には、問題が・・・?(1)
4)PISA調査問題には、問題が・・・?(2)
5)PISA調査問題には、問題が・・・?(3)
上でtoshiさんが述べられている事のいくつかについては異論がある。とはいえ、toshiさんが、現段階での結論として、5)の最後に述べておられる以下のPISAの理念に管理人は強く同意する。
PISAには、PISAの、TIMSSとは異なる理念がある。文科省の言う『生きる力』ともかかわって、学び方、生き方を問う問題を作成している。どうも、管理人はPISA2006の資料の詳細な記述に囚われていたようだ。toshiさんと同じようなことをブログ「SciencePortal担当です。」でMiWさんが
そして、世界中が、今、PISAを求めている。PISAへの関心が高い。
PISAの理念に共感しているのだと思う。
それは、世界中の国々が、
『そうだ。これからの教育は、単なる読み書き能力の育成ではない。純粋に、科学・数学の能力を高めることでもない。まさに、生きる力。それらをどう高めていくか。つまりそれは、思考力、判断力を高めることでもあるのだが、それこそが、これから求められる学力である。』
そう考えるようになったということではないか。
そもそも「科学技術リテラシー」とは何ぞやというとことに立ち戻ることを忘れないようにしたい。と述べている。
自分の今のところの理解は「科学技術の知識・理解をもとに論理的思考をもって物事を判断、対処できること」。
「科学技術の基礎的素養」を仮に全て身に着けたとしても、その先がなければ「役に立たない知識」同然となってしまう。
お仕着せの画一的な知識ではなく、それをもとに各人が判断できる、そうなるように「論理的思考を養うための議論の練習」もしたほうがいいかも。
管理人が今まで考えていた「科学リテラシーの普及が日本を変える」における「科学リテラシー」は「思考力、判断力」と置き換えても良さそうである。ただし、上で述べられている「思考力、判断力」のままでは具体性に欠けていると思う。この欠点を補う形で「科学技術の知識・理解をもとにした思考力、判断力」すなわち「科学的に考える力」が必要となり、その養成に「科学(科学技術)の知識」のみならず「科学(科学技術)についての知識」を合わせた「科学リテラシー」が必要となってくると思う。
「科学についての知識」について、ブログ「ハーバード大学医学部留学・独立日記」で島岡さんが、Department of Physics and Astronomy, Union College, NYのChad Orzel教授がブログUncertain Principlesで以下の記述をしていることを紹介している(和訳は島岡さん)。
サイエンスについて知っておくべき3つの”定理”なお、3)の和訳は「すべての人が科学をすることができる」だと管理人は思う。この元記事のコメントが面白い。「科学についての知識」についての管理人の記事「PISA2006における「科学についての知識」の定義」はあまりにも難しすぎたと、反省している。Chad Orzel教授の記事とコメントを基に、「科学についての知識」を後日、詳細に論じたいと思っている。
(What Should Everyone Know About Science?)
1)サイエンスとはプロセスであり、単なる実験結果の集積ではない(Science is a Process, Not a Collection of Facts)ーサイエンスの本質とは”世界”がどうゆう仕組みで動いているかをシステマティックに解明するアプローチである(The essence of science, broadly defined, is that it is a systematic approach to figuring out how the world works)ー
2)サイエンスはひとをひとたらしめる営みである(Science is an essential human activity)ー芸術がひとをひとたらしめるのと同じく、サイエンスもひとをひとたらしめるー
3)サイエンスはすべてのひとのためにある(Anyone can do science)
注:新カテゴリーとして「科学リテラシー」を追加しました。旧記事の再配置は後でします。