1968年4月に大学に入った時に、第2外国語の履修科目(ロシア語)別に2年間の教養部のクラスが編成された。このクラスの親交を深めるために文集を出すことになった。指定された内容は自己紹介と本の紹介だったらしく、私が紹介したのが、大学受験が終わった後で読んだ「桃太郎の母」であった。他の級友たちの中には、「無門関」や「堕落論」を紹介した者もいた。今思えば、大学紛争が勃発する直前の古き良き時代であった。
「桃太郎の母」の詳細は忘れたが、ともかく、面白く、感動したことを覚えている。新訂版が講談社学術文庫に収められているとのことなので、30年前に返って、読みなおしてみようと思う。
この文集はガリ版印刷で、永いこと私の机の引出しに保管してあった。しかし、2年前の引っ越しの際に処分してしまったようで、今探してもみつからない。
約60人の級友の中には、卒業後に医学部、文学部、法学部に再入学した者や出家した者もいる。学部卒または修士修了で就職した級友も多かった。6人の級友とは今でも年賀状のやり取りがをしている。私が関東圏に転職した際の開催された歓迎会には、関東在住の6人で旧交を温めた。また、今年の6月には同期会があり、大学卒業以来35年振りに5人と再会した。皆が各々の人生を謳歌しているのを知ることは、幸いである。