このアンケート調査は主に、博士課程学生、ポストドクターなどの若手研究者の実態や現状に関する問題、またキャリア形成に対する考えなどを把握することによって、今後のキャリア形成支援に必要な情報を収集する非常に重要な調査です。とのことである。早速、 http://www.ph-career.org/enq/にアクセスした。
キャリア形成への支援が必要ではないと思われる世代の方も、比較のためのデータとなりますので、可能な範囲でご回答いただきますようお願いいたします。とのことなので、調査に協力した。
質問項目の総数は31もあり、その中には
Q11. あなたは、次のような資質が身についていると思いますか。
Q12. あなたは、大学・大学院での研究活動を通じて、自分の能力を伸ばすような次のような経験をしたことがありますか。
のような質問もあり、学生時代や今の自分を見つめ直す調査であった。とはいえ、その内容が多岐にわたることから、博士課程におけるキャリア形成支援の難しさも感じさせられた。
物理的考え方を身につけた者は分野を問わず社会に大きく貢献できる素地・素養があるはずである。しかし、サイエンスリテラシーが欠如した人間・企業が大手を振って闊歩している今の日本ではその能力が十分に生かされる場があまりにも少ないように思う。
このままでは自分の生活基盤さえも失われることを想像できない既成の価値観(地位・名誉・金銭・勝利・征服)に捉われた人たちで構成される現代日本社会を変えるのは、やはり利益誘導しかないのだろうか。すなわち、当面の博士課程におけるキャリア形成支援では、悲しいけれど、「物理的考え方を身につけた者」に活躍の場を与えることが自分たちの目先の利益につながることを明示できるようなキャリアの形成を支援し続けるしかないのだろうか。しかし、この方法では、既成の価値観に埋没してしまう可能性が高い。
根本的な解決は、サイエンスリテラシーに裏打ちされた社会を築くことである。このことに関連して、「科学と民主制のための世界社会フォーラム」が
http://skasuga.talktank.net/diary/archives/archives/323.html
で紹介されていることを最近知った。その解説
http://skasuga.talktank.net/diary/archives/archives/321.html
を読むと日本の科学をめぐる状況の悲劇的な後進性が痛感される。