2007年11月04日

科学者の倫理

11月4日毎日新聞朝刊東京版に「理系白書'07第3部・科学者の倫理とは」の第2回として、
ロボット研究と軍事転用
<社会の中へ>
 ◇「悪用」防ぐ責任
 ◇社会への影響、ますます大きく--問われる手法、目的
という記事が掲載されている。第1回の記事
産学連携で収入・保有株申告
<社会の中へ>
◇教員「社会に貢献、なぜ懐具合を探るのか」--利益相反に戸惑い
について、「これは科学者ではなくて社会人としての倫理あるいはシステムの問題だろう」と少し違和感を感じた。

同じような違和感を伝えるコメントが理系白書ブログに寄せられた。このコメントに対して、
社会の中のいろいろな人たちと比べて、特に科学者の倫理を問題視しているわけではありません。これまで私たちは科学者の周辺のことをずっと描いてきたので、「じゃあ科学者の倫理って?」と考えてみたわけです。
という、私には理解できない回答が掲載されていた。

第2回の記事は、山海教授の「今の日本はまだ、技術で人をあやめることに国民がノーと言える。その良識を失ってはならない」という言を引用して、「強くそう願う。」で終わっている。これを読んで、更に違和感を深めた。結局、このシリーズでは、誰に何を言いたいのか、ますます分からなくなってしまった。

副題に<社会の中へ>と記載されているので、「社会との関わり」を「倫理」と結び付けて捉えようとしているようにも見えるが、理解に苦しむ。

科学技術研究開発に従事する者は、高い倫理性を持って社会と科学の関わりについて考えて行動する必要のあることは、学生時代から友人たちとアレコレ議論してきた。その考えを
・社会の中の海洋物理学研究(月刊海洋、号外第40号、2005年)
という小論にまとめて公表したこともある。

科学技術研究開発に従事する者が、その成果を悪用される事を危惧せずに、自分の夢の実現に全力を尽くすことができるようになるためには、科学リテラシーを身に付けた「良き市民」を一人でも多くするしかないと思っている。このことをマスコミにも期待しているのだが・・・
posted by hiroichi at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 報道 | 更新情報をチェックする
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