作業:
通常は8時から17時まで、甲板や実験室で行います。甲板での作業は、常時、ライフベスト、ヘルメット、安全靴を着用します。
夜間を含めた観測は4時間交代で行います。私は、夜明けあるいは夕暮れの中で作業を行う04時から08時および16時から20時までを担当する当直(通称0-4ワッチ)が好きです。
一般に船の中の各スペースとそれらを結ぶ通路は複雑で、階段は狭くて急です。船内の至る所に掲示されている配置図を見ながら早く慣れる必要があります。
海上での作業は天候に大きく左右されます。このため、悪天候のときにはジッと待機し、好天のときには出来るだけ作業を迅速に進めるとが鉄則です。好天のときでも、気象庁および民間気象予報業者他からFaxやインターネットで入手した天気予報図、波浪予報図、黒潮流路図を睨んで次の日程を考える日々でした。まさに、「人事を尽くして天命を待つ」のが常です。
居室:
1室の定員は1名から4名です。各室にはTV、冷蔵庫、机があり、船内LAN端子も備えつけられています。船内LANを通して、船内のプリンター利用や観測データのダウンロード、陸上とe-mailの交換(6時から22時まで1時間に1回)が可能です。
娯楽としては、娯楽室から借り出した本を読んだり、ビデオを鑑賞することもできます。今航海中は数日間を除き、常時。BS放送も受信可能でした。しかし、日本を離れると受信できず、ニュースはFaxだけが頼りとなります。
空調は完備されていますが、微調整が効かないので、冬の航海でも半袖シャツ、夏の航海でも長袖シャツを持ち込む必要があります。また、室内の空気が乾燥しているため、陸上にいるときよりビールの消費量が増えます。船内には清涼飲料の自動販売機はありますが、酒・たばこ・菓子・ジュース類などの嗜好品や薬類は出港前に購入し持参しなければなりません。のどの弱い人にはウガイ薬も欠かせません。
通勤時間0分、空いた時間には自室で随時仮眠を取れるのが陸上での生活と最も異なるところでしょう。
食事:
メインテーブルでは、作業がない場合には、船長・首席研究員などが一同に会して給仕付きで食事を始めますが、その他の席では各自、ハラバラです。
朝食は通常は7時30分から始まります。早朝からの作業が予定されている場合には、7時頃から可能です。乗船前の選択により、全航海期間中で洋食または和食のいずれかになります。
昼食は12時から、夕食は17時から始まります。日替わりのメニューは豊富で、うな丼、ソーメン、ラーメン、ビフテキ、握り鮨、オムライス、果物、アイスクリーム、その他が続きます。夕食のおかずは毎回必ず4種はありますから、全てを食べると確実に体重が増えます。
入浴:
シャワーは24時間使用が可能。洗髪シャンプーとボディーシャンプーは常備されています。浴槽内の水は海水です。「追いだき」には蒸気弁を開けます。船が揺れている時には、脱衣場の体重計は機能しません。
洗濯:
洗濯室には全自動洗濯機が5台あります。乾燥は室温が高温に保たれている乾燥室または乾燥機を使用します。作業がひと段落した時の乾燥室には、皆の種々の衣類が所狭しと並んでいて、それなりに壮観ではあります。
環境:「かいよう」は電気推進のため、他の船に比べて発電機の騒音が大きいように感じます。とはいえ、大きく揺れさえしなければ、船内生活は快適です。空調が良いためか、油やペンキの匂いは感じませんでした。
上の紹介で船内生活の一部でもお伝えできれば幸いです。
なお、道田豊さんがその公開日記で5月の観測航海の日々を具体的に紹介されていますので、是非ご覧ください。
そして、お疲れ様でした。
天候に左右されて、それを補うために限られた条件で出来ることをやる。
まさに体力勝負であると同時にそれらの知識があるというだけでなく。いかに効率よく済ませて次のグループの人に分かりやすく引き継ぐかなど・・・
要求される課題が多そうですね。
船の中はお仕事で乗り組む船としては想像していたよりも快適そうですね。
よく映画で船で航海に出ると野菜は日持ちがしないから栄養が偏るといいますが。
お食事のほうも消化のよさそうなメニューですね。
果物も出ると聞きますから今は栄養面でも心配ないんでしょうね。
無事に帰ってこられて何よりです。
コメントをありがとうございました。
> 船の中はお仕事で乗り組む船としては想像していたよりも快適そうですね。
> よく映画で船で航海に出ると野菜は日持ちがしないから栄養が偏るといいますが
昔の船舶には居住性や食糧保蔵設備があまり良くないことがあったと思いますが、現在の多くの船舶の環境は漁船も含めて格段に改善されているはずです。
海洋観測の醍醐味を多くの人にお伝えたいのですが、独りよがりとなりそうで、躊躇しています。