追記:
1)図の表示を変更しました。
2)文章の一部に修正しました。
3)関連記事へのリンクを修正・追加しました。
10/13 18:45
本航海は,9月17日横浜港山下埠頭1号岸壁出港から10月9日海洋研究開発機構岸壁接岸までの23日間,四国海盆および黒潮続流域で,黒潮輸送・海面フラックスグループの研究者3名、米国海洋気象庁(NOAA)太平洋海洋環境研究所(PMEL)の技術者2名、と観測支援員(マリンワークジャパン所属)9名が乗船して行われた.
最初に、昨年9月以来の3航海で回収できなかった2基の圧力計付き倒立音響測深機(PIES、タイマー作動予定時刻:9月19日12時と21日06時)を回収するために四国沖へ向かった.幸いにも予定時刻の海況は良好だったが、各々の自動浮上予定時刻から3時間以上探索を続けても海面への浮上を確認できず、PIES回収を断念した。
KEO周辺海域(注1参照)が荒天のため、八丈島地先において9月22日13時から24日5時まで待機した後、東へ向かう。この間にラジオゾンデの試験観測を実施した、
25日早朝から29日午後まで、北緯32度東経145度付近のKEO周辺海域で強流域用海面係留ブイ(K-TRITON、注2参照)実海域試験係留、PMELの海面係留ブイ(KEO4)設置、ラジオゾンデ観測(7回)、その他を航走海上気象観測を行いながら実施した。
29日夜より荒天のため予定とは逆に南に向けて避航を開始した。10月1日9時から2日5時まで八丈島地先で待機した後、3日11時02分から4日6時45分に予定とは逆向きに北緯38度線上で東に向けて東経142度からJKEO設置点(
4日朝から昼前までのJKEOの気象観測装置他の交換作業を終了後、直ちに釜石港へ向けて避航を開始し、深夜までのラジオゾンデ観測を行いながら5日8時30分に釜石港着。
6日朝に東経143度線上での黒潮続流横断観測を行うために航走を開始したが、海況不良が見込まれるため、12時10分に館山湾へ向けて避航開始。
7日9時に、観測予定海域の海況回復の見込みがないため、今航海の観測を終了とする。8日朝に横須賀港外に移動した後、予定を1日早めて9日9時に横須賀港機構岸壁に接岸して全航海を終える。翌10日9時より儀装解除を行った。
悪天候に振り回されたが、PIESの回収と黒潮続流横断観測を除く大部分の作業を行うことができた。特に、KEO周辺海域において、航走海上気象観測、ラジオゾンデ観測、2基の海面係留ブイによる4日間の同時観測によって、人工衛星リモートセンシングによる海面熱交換量の推定値の精度向上のための貴重なデータを得ることができたのは大きな成果である。
注1)KEO(Kuroshio Extension Observatory)
PMEL/NOAAが平成16年6月より房総半島南東方約600 kmの黒潮続流の南の再循環域において海面係留ブイ観測を行っている点。平成18年6月にブイシステムを更新後、本年4月よりブイ本体の漂流により観測停止中だったが、今航海での新たなブイの設置により再開。
注2)JKEO(JAMSTEC Kuroshio Extension Observatory)
平成19年2月からJAMSTECがPMEL/NOAAと共同して、仙台市東方約400 kmの黒潮続流北側において海面係留ブイ観測を行っている点。人工衛星データから黒潮続流域での海面熱・真水フラックスを高い精度で定量するために必要な現場データの収集中(8月中旬よりデータ不良であったが、今航海で交換作業により回復)。現在は、PMELが開発したブイシステムを使用。このブイを平成20年2月に回収し、JAMSTECが独自に製作中の強流域用トライトンブイ(K-TRITON)に置き換える予定。
参考エントリー:
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/5635045.html
http://blogs.dion.ne.jp/hiroichiblg/archives/6190677.html
大変なようですが、海の上では楽しいこともいっぱいあるのでしょう。
体力も衰え、大変といえば大変だったのですが、海洋の現場観測が好きな私にとっては、約1年振りの乗船で、楽しさが勝っていたのは確かです。
今航海での初体験は水平線を昇る満月を見たことです。日の出とは違って、結構、不気味でした。JKEO付近ではマッコウクジラに遭遇したらしいのですが、私は見逃してしまいました。