すると、毎日新聞科学環境部元村記者による「科学記者は敵か?味方か?」という7月号に掲載された論説が目を引いた。その内容が私の認識と大きくかけ離れていることに愕然とした。
元村記者の論説文に対し、すでにブログの世界で反論があるだろうと検索した。その結果、
hyamamicさんが「科学記者は敵か?味方か?」というエントリーで、「科学記者は敵」という主旨の発言をしていること、
このhyamamicさんのエントリに対して、poohさんが「敵の使い方」というエントリーで、「むしろ、その傲慢を利用して、いま持っている絶大な力をどううまく使うか、を考えた方がメリットが大きいのではないか」という意見を述べていること、
このpoohさんのエントリーのコメント欄でpoohさんの発言や元村記者の主張について熱い議論が繰り広げられていたこと、
が分かった。
これらのエントリーやコメントで述べられている問題の所在についての認識を私も共有する。ただし、その対応策の一部には同意しかねる点もある。
平成18年1月号の「化学者コミュニティの良識―論説について―」で
「論説」は署名記事で、論説委員会で審議して発表しますが、文責は執筆した論説委員にあります。運営会議は、その内容が会員の良識を代表する重要な意見の一つとして認め掲載するものです。もちろん会員の意見は様々でありましょうし、論説が正しいという保障もありません。論説に対する異論反論は大いに歓迎するところで、論議を通じて、水準の高い適切な共通認識に到達することを期待しています。と記載されており、日本化学会員の誰かが元村記者に反論されることを期待する。
内容はともあれ、日本化学会を手本として、日本海洋学会でも、論説委員会を設けて、海洋学者コミュニティーの判断を「海の研究」で公表して、マスコミを含む社会へ働きかけることについての提案書を海洋学会教育問題研究部会を通して学会幹事会へ提出しようと思っている。
うちのコメント欄はそれぞれに高い見識をお持ちのコメンテーターのみなさんがご訪問くださるので、有用かつ馴れ合わない意見がたくさんいただけます。ありがたいことだと思っています。
マスメディアを経由した科学情報の正確な伝達は、ニセ科学問題と云う断片に留まらず求められるべきことです。ただし、マスメディア側にそれを行うインセンティブが存在しないことが問題を難しくしていると思います。元村記者でさえ、相対的に見れば高い意識を持っている方だ、と云う事実には暗澹たる気分になりますが、ここはもうそう云うものだと割り切って、上手に科学者側がマスメディアをコントロールしていただければなぁ、なんてぼくは思います。
ご返答をありがとうございました。
>ここはもうそう云うものだと割り切って、上手に科学者側がマスメディアをコントロールしていただければなぁ、なんてぼくは思います。
効率が悪いとは思いますが、マスコミを含めた社会全体へのサイエンスリテラシーの普及を最終目標として、焦らず、怒らず、見捨てず、各人が出来る範囲の活動を工夫してシツコク続けるしかないと私は思っています。
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