英国での留学体験から、欧米の研究者たちは議論の進める際に必ず「証拠:エビデンス」も提示していること、自分の主張・研究成果を相対化していることを紹介して、これらのサイエンスリテラシーが英国ではおそらく小中学生時代の教育をとおして「文化」となっているのだろうと述べている。
上で述べたサイエンスリテラシーが日本では普及していないことを、自分の大学院教育での経験、日本のマスコミ報道のあり方や2チャンネル、日本語版ウィキペディアでの匿名発言・寄稿を例として挙げ、日本人の1%程度しかサイエンスリテラシーを理解していないのではないかとの認識を示している。また、今、最も注目されている理論物理学者の一人であるリサ・ランドールさんとの対談から「良き市民」にはサイエンスリテラシーが備わっていることを述べている。
科学研究の喜びに関して、「他人との関係性」の重要性が強調されている。茂木さんの説明では「他人との関係性」とは「他人から認められること」であるとのことだが、この表現は私には不十分なように思う。「他人との関係性」
科学教育に関連して、「他の人と違ってもいいんだ」ということを子供に伝え、各々の子供が持っている可能性を一緒に探すのが教育だという。全く同感である。
脳科学者による、人間の思考・行動を脳の各部の機能などと結びつけて述べた講演であり、興味深い内容ではあった。ただし、分析的・合理的・物質的なアプローチで得られ
上で述べたことは、録音された講演を聴いて自分なりに感じたことの一部である。他にも印象深い問題提起が多い。是非、元の録音記録を聴かれることをお勧めする。
日本のマスコミ報道におけるサイエンスリテラシーの欠如の実例は、中国からの輸入食品の安全性についての報道に関してY日記でも指摘されている。「良き市民」が一人でも多くなることを願って、私もサイエンスリテラシーの普及に微力ながら努めたいと思う。