2007年06月14日

ラニーニャ

気象庁は6月11日のプレスリリースでラニーニャが発生したとみられることを公表した。このことをネタに毎日新聞12日付け東京版朝刊で以下の記事を掲載している。
ラニーニャ現象:東太平洋赤道域で発生 日本の夏は猛暑か
 気象庁は11日、赤道付近の海面水温が平年基準と比べて0.5度以上低くなる「ラニーニャ現象」が、5月から発生しているとみられると発表した。同庁は同現象により今年の夏は平年より暑くなる可能・が高いとしている。

 ラニーニャ現象は、太平洋上の赤道域で日付変更線付近から南米・ペルー沿岸にかけての広い海域で起きている。5月の海面水温は、1977~2006年までの平均水温を示す基準値より0.7度低く、10月ごろまで1度から1.5度低い状態で推移すると見込まれる。
さらに、11日東京版夕刊の「2007チャンネルYou 知りたい」で大きく解説記事を掲載している。ところが、これらの記事は、一般の読者が読んですんなりと理解できるのか疑問に感じる内容になっている。



朝刊の記事では、エルニーニョと対比せずに、ラニーニャについてのみ述べているため、分かりにくい。しかも、気象庁の元ネタでは「太平洋赤道域の海面水温は、東部で顕・な負偏差、西部で顕・な正偏差だった。」と述べているのに、記事の冒頭では「赤道付近の海面水温」について記述している。おそらく、担当記者はエルニーニョ現象を十分に理解していないようである。

気象庁の元ネタでは今年の夏が平年より暑くなるのか否かに言及していない。気象庁の過去の資料ではラニーニャ現象発生時の夏季の気温が平年より高くなるのは西日本では4贈%、北日本で46%、東日本で40%であり、南西諸島では2贈%にすぎない。にもかかわらず、「知りたい」の記事中には
これまで、ラニーニャが発生した夏の贈割は猛暑になったという・計があるが、気象庁の石川孫一・エルニーニョ情報管理官は「予測は複雑な要因が絡むため、必ず暑くなるとは言い切れない」と話す。

という混乱した記述もある。

生活に密着している自然現象への興味を高める記事として、エルニーニョ/ラニーニャ現象を取り上げた意欲を高く評価するが、内容は不十分である。せめて、専門家に原稿の確認を・てから掲載してほしかった。

なお、エルニーニョ/ラニーニャ現象についての詳細な解説・情報は、英文ではここにあります。

<追記>6月14日23時
冒頭の毎日新聞12日朝刊の記事へのリンクを貼りました。
posted by hiroichi at 01:50| Comment(2) | TrackBack(1) | 報道 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 拝見しました。

 TAOというプロジェクトのこと。

 私のつたないに英語能力で、グ-グルの翻訳に助けられながら。なんとなしに分かる範囲内でも、内容でした。

 私のブログでも、他の天体との比較の為、
地球の自然科学は無視できないと思い始めています。

 今回の記事は大変、勉強になりました。

 まだ、ちょっと消化し切れていませんが。
無理せず、時間かけてでも理解を深めたいと思います。
Posted by XENA at 2007年06月16日 00:03
すみません。
4行目に不手際ありました。

「大変、ためになる内容」でした。

失礼しました。
Posted by XENA at 2007年06月16日 00:08
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2014年5月11日のツイート(追記あり)
Excerpt: 2014年05月11日02時30分 追記 ツイエバ ツイート 市川洋,Hiroshi Ichikawa @hiroichik 気象庁平成26年4月10日発表「エルニーニョ監視速報No.259..
Weblog: 海洋学研究者の日常
Tracked: 2014-05-12 02:37